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子どものスマホ安全設定--「成長に合わせたフィルタリング」を

インターネット接続機器はケータイからスマホに代わり、携帯ゲーム機や携帯音楽プレイヤーで接続する例も増え、子どものネット環境は大きく様変わりしています。ネットをめぐる重大トラブルの多くは参加発信型サービスで発生し、なかには人生や生命の危険にまで及ぶものもあります。子どもの安全を守るため、スマホはじめ接続機器にはフィルタリングの設定をお勧めします。

様変わりした子どものネット接続環境

ここ数年のうちに、子どもたちのインターネット利用状況は大きく様変わりした。スマートフォンが普及して携帯電話に取って代わっただけでなく、携帯ゲーム機や携帯音楽プレイヤー、タブレットなどインターネット接続機能をもった機器類が、子どもをインターネットにつなぐ役割を果たすようになった。

表1は、内閣府が2009年度から毎年実施している「青少年のインターネット利用環境実態調査」(注1)の最新データ(平成26年度版、2015年3月公表)からまとめたものだ。表の左欄は青少年(調査対象:10~17歳)が利用しているインターネット接続機器の利用者数(複数回答)と、その機器でインターネットを利用する人数・利用状況(%)である。右欄は、インターネット接続機器を利用しない青少年も含めた有効回答者3441人を対象とした場合の、インターネットを利用する割合(総数ベースのインターネット利用状況)だ。

表1 インターネット接続機器の利用者数(複数回答)とインターネット利用率・利用状況

インターネット接続機器の利用者数
(うちネット利用者数・利用状況)
インターネット利用状況
(総数ベース)
スマートフォン1541人(1475人・95.7%) 42.9%①
携帯ゲーム機1495人(638人・42.7%) 18.5%③
据置型ゲーム機891人(266人・29.9%) 7.7%⑦
携帯音楽プレイヤー875人(327人・37.4%) 9.5%⑥
ノートパソコン846人(793人・93.7%) 23.0%②
タブレット483人(434人・89.9%) 12.6%④
デスクトップパソコン409人(380人・92.9%) 11.0%⑤
携帯電話392人(120人・30.6%) 3.5%
機能限定携帯電話や子供向け携帯電話307人(30人・9.8%) 0.9%
学習用タブレット202人(139人・68.8%) 4.0%
インターネット接続テレビ114人(58人・50.9%) 1.7%
携帯電話の契約が切れたスマートフォン100人(73人・73.0%) 2.1%
機能限定スマートフォンや子供向けスマートフォン60人(28人・46.7%) 0.8%
いわゆる格安スマートフォン22人(19人・86.4%) 0.6%
子供向け娯楽用タブレット9人(6人・66.7%) 0.2%
  • 出所:「平成26年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(注1)掲載データより作成

インターネット接続に利用される機器のトップはスマートフォン(42.9%)で、次にノートパソコン(23.0%)、携帯ゲーム機(18.5%)、タブレット(12.6%)、デスクトップパソコン(11.0%)、携帯音楽プレイヤー(9.5%)、据置型ゲーム機(7.7%)の順となる。携帯電話でインターネットにアクセスする青少年(3.5%)は、学習用タブレットでアクセスする青少年(4%)より少ない。子どもが利用するインターネット接続機器の様変わり、多様化が見て取れる。

接続機器の多様化は他の調査(注2)でも明らかになっており、今や子どもたちのインターネットデビュー時の接続機器もパソコンや携帯電話ではなく携帯ゲーム機に移り、低年齢化が進んでいるという。また、子どもに一人一台のパソコンを与える家庭は少数だったが、小さなパソコンと言われるスマートフォンについては自分専用で持つ子どもが珍しくない。このため、子どものインターネット利用の実態は、保護者からいっそう見えにくくなっている。

まだ幼い子どもが携帯ゲーム機や携帯音楽プレイヤーでネットデビューした場合、保護者がこれに気づいて適切な対応をしなければ、何らかのトラブルに遭遇するおそれがある。多くの中高校生が利用するスマートフォンも、保護者から見えないところで使い方を誤れば、人生の危機・生命の危険さえ招きかねない。

★コラム:小学男子の6割が携帯ゲーム機、高校女子の9割がスマホユーザー

年齢や性別で接続機器の特徴をみると、携帯ゲーム機の利用者は、小学生(男子61.8%、女子49.8%)、中学生(男子51.8%、女子33.6%)、高校生(男子41.5%、女子22.3%)と年齢が上がるにつれて減少し、いずれも女子より男子のほうが多い。
携帯音楽プレイヤーの利用者は小学生(男子7.1%、女子12.5%)、中学生(男子27.1%、女子34.8%)、高校生(男子30.5%、女子38.6%)と年齢が上がるにつれて増加し、いずれも女子のほうが男子より多い。
スマートフォン利用者は、小学生(男子11.4%、女子11.9%)、中学生(男子33.3%、女子41.2%)、高校生(男子88.0%、女子90.1%)と年齢が上がるにつれて増加し、女子高生は9割がスマホユーザーだ。
(データ出所:注1)

起きているトラブル――金銭的損害から生命の危険まで

○小学生がゲーム機やタブレットでネット接続し、親に高額請求
国民生活センターは、子どもがオンラインゲームで金銭トラブルを起こす例が増えているとして、保護者に注意を促している(注3)。次のような事例が報告されている。

  • ・小5の女児が母親のカードを無断で使い、高額請求を受けた。女児がゲーム機の画面に母親がもつカードのマークが表示されているのを発見したことが、その発端だった。画面どおりに番号を入れていくと、ソフトが簡単にダウンロードできたことに驚き、女児はこの凄い方法を友だちにも教えてあげた。その結果、母親に届いた請求書には、ゲームソフト代金として24万円が記載されていた。
  • ・母親と一緒にタブレットでオンラインゲームをすることがあった6歳女児が、母親の知らない間に一人で遊び、14万円分も利用してしまった。ゲームには母親のクレジットカードが登録されており、母親は100円のアイテムを一度購入しただけだったが、娘が一人で遊ぶうちにいろいろなアイテムを購入していた。このゲームでは、一度入力したカード番号は一定時間有効なままになっていて、子どもが有料アイテムを購入できてしまう仕組みだった。

○SNSでの不適切な情報発信で炎上、個人情報が拡散し、将来に禍根
青少年が動画投稿サイトやTwitterなどSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)へ不適切な投稿をし、大きなトラブルに発展することがある。今年1月にも、コンビニやスーパーの商品にようじを突き刺すような動画の投稿を繰り返した少年が、偽計業務妨害容疑などで逮捕されている。
この少年は意図的な行為であった可能性が高いが、意図も自覚もなく自分の問題行為をSNSで発信し、不特定多数から攻撃を受けて炎上し、個人情報をリサーチされ暴露されるという事態に至る例が少なくない。ネット上に暴露された個人情報を消すことは難しく、将来にわたって禍根を残しかねない。
以下は、安心ネットづくり促進協議会(JISPA)がまとめた「青少年のネット上の問題行動」(注4)で取り上げられている事例の一部である。

  • ・レストランのアルバイト店員が冷凍庫に入って遊んでいる画像をネットに公開し、問題化した。当該店舗は結果として閉店となり、経営者側は損害賠償を検討することとなった。
  • ・コンビニのアルバイトがアイスクリームのショーケース内に入っている写真をネットに公開し、問題化した。店側は、廃棄したアイスクリーム代金等を含めて70万円の損害賠償を請求するとした。また、業務妨害罪として書類送検された。
  • ・生徒がSNSに、アルコール類を手に持った写真等の情報を自身で投稿した。投稿した生徒の名前等のプライバシー情報が複数サイトに拡散してしまった。
  • ・10代の少年が、下校途中の小学生男児に言いがかりをつけて泣かせている動画を投稿した。その後炎上し、加害少年の自宅が特定されネット上で公表された。

○コミュニティサイトで発生する性犯罪被害
「コミュニティサイト」での出会いをきっかけに起きる事件と被害児童数が増加を続けている。コミュニティサイトとは、チャットや掲示板、SNS、LINEなどを含む交流サイトのことだが、2008年末に「出会い系サイト規制法」が改正されて以降、出会い系サイトよりコミュニティサイトで被害にあう児童数が上回り、その差の拡大が続いている。
図1を見ていただきたい。出会い系サイトの被害児童数は減少を続けているが、コミュニティサイトでの被害児童数は2011年、2012年に減少の兆しを見せたものの、2013年に増加に転じ、2014年は統計を取り始めた2008年以降、最多となってしまった(図1)。

図1 コミュニティサイトおよび出会い系サイトに起因する被害児童数の推移(出所:注5)

昨年1年間、コミュニティサイトを使って犯罪被害にあった18歳未満の児童は1421人(前年比128人増)で、被害の約半数(711人)は性犯罪など青少年保護育成条例違反だ。児童買春・ポルノ禁止法違反(618人)と合わせると、93.5%を占める。
重要犯罪では強姦(23人)、略取誘拐(3人)、強制わいせつ(11人)が起きており、昨年5月には殺人事件も1件、発生してしまった。命を断たれたのは当時17歳の女子高生で、加害者とはコミュニティサイトを通じて知り合ったという。
被害児童のコミュニティサイトへのアクセス手段として最も多く使われていたのはスマートフォン(1118人)で、携帯電話(+パソコン含む)158人、パソコン43人、その他(携帯音楽プレイヤー、ゲーム機、タブレット端末含む)は90人だった。コミュニティサイトを利用することについて、保護者から注意を受けていなかったという被害児童は半数を超え(53.8%)、9割以上がフィルタリングに加入していなかった。

成長に合わせたフィルタリングが必須

子どものインターネット利用で起きるさまざまなトラブルを防ぐには、保護者の「見守り」と、それを助ける「フィルタリング」が大きな力になる。フィルタリングは、子どものインターネット環境から、たとえば次のようなコンテンツを排除してくれる。

図2 フィルタリングの制限分野の例(図の出所:注2、一部省略)

子どもからゲームやチャット、SNSを取り上げるのは忍びないと思う方もおられるかもしれない。しかし、子どもにそれらを安全に利用する力がつけば、フィルタリングはいつでも解除できる。フィルタリングは子どもの発達段階に応じてカスタマイズして使うものであり、子どもの成長や実態を身近に見て知っている保護者が、その匙加減をする最適任者であることは間違いないだろう。

○発達段階に応じて利用範囲を広げていく「段階的利用モデル」
最近の子どもたちのインターネット利用に伴う重大トラブルの多くがLINEなどメッセンジャーアプリ利用によるオンラインコミュニケーション関連であること、接続機器の多様化によって問題発生が低年齢化していることなどに着目し、子どもが無理なくインターネット利用の世界を広げていくための「段階的利用モデル」が提案されている(図3)。
「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」(注6)が作成したもので、子どもが身に付けた「能力(スキル)」、「知識」、「倫理」に応じて、4段階でオンラインコミュニケーションの利用範囲を広げていく。

図3 オンラインコミュニケーションの「段階的利用モデル」(図の出所:注2、一部省略)

最初は閲覧するだけの「Step1」から始まり、「家族間」「顔を知っている友人」「顔を知らない相手」へと、コミュニケーション対象の範囲が広がる。保護者が子どもの成長に合わせたフィルタリング設定や家庭での利用ルールを検討するとき、このモデルが参考になるだろう。

「Step1」で利用禁止、「Step2」「Step3」で利用制限とされている「メッセンジャーアプリ」とは、子どもの1対1またはグループでのコミュニケーションツールとして頻繁に使われているLINEやカカオトーク、Facebookメッセンジャーなど。「Step2」「Step3」で利用制限とされている「参加発信型サイト」とは、Twitter、Facebook、YouTube、パズドラ、GREE、mobage、mixiなど、そこに参加して情報発信できるサイトを指している。

保護者のマスト――「フィルタリング設定」と「カスタマイズ」

スマートフォンは、無線LAN(Wi-Fi)を使った接続、アプリからの接続が可能だ。フィルタリングしないでそれらを利用した場合、不適切なサイトへのアクセスが可能になってしまう。スマートフォンのフィルタリングは、Webサイトのフィルタリングに加え、このLAN接続対策、アプリ対策がポイントになる。

図4は、携帯電話会社(キャリア)の主要3社が無料提供しているフィルタリングサービスをまとめたものだ。キャリアによって、また基本ソフト(Android、iOS)によってサポート内容が違ってくるので、子どもが使用しているスマートフォンの機種に合わせてサポート内容を確認していただきたい。

図4 キャリアが提供・推奨するスマートフォン向けフィルタリング(図の出所:注2、一部省略)

上掲のキャリア提供フィルタリングでは、アクセスするWebサイトについて、子どもの学齢に応じたレベル設定ができ、個別にカスタマイズもできる。Android端末については、アプリ管理(ダウンロード制限やインストール済みアプリの起動制限)も対応している。
サービスの利用には、各社が提供するフィルタリングアプリを子どもが使うスマートフォンにダウンロード/インストールし、必要な設定をすればよい。申し込み方法や設定方法は各社のサイト(注7)に詳しい説明があるので、それを参照していただきたい。

○フィルタリングのカスタマイズ
フィルタリングの利用率は、最も新しい2015年1月の調査(対象10~18歳、有効回答1213名、注11)で、48.6%(小学生54.7%、中学生50.4%、高校生40.9%)という結果が出ている。なかなか普及しない理由の1つに、使い勝手がよくないという声もあるが、誤解も少なくないようだ。フィルタリングエンジンを開発するネットスター社が運営するサイト「子どもケータイ・スマホあんしん講座」には、スマホのフィルタリングに関するさまざまな疑問・質問とその回答がまとめられているので、一読をお勧めしたい(注12)。「見たいサイトが見られません。フィルタリングを解約すべきでしょうか?」という質問には、「カスタマイズ機能を利用して、フィルタリングで安全を確保しながらインターネットを使うのがおすすめです」と回答している。

図5はKDDI(au)のフィルタリング「安心アクセス for Android/iOS」のカスタマイズ例で、制限されているWeb サイトのアクセスを必要に応じて個別に許可することができる。Android端末では、制限されているアプリを個別に利用可能にすることもできる。方法は、保護者向け設定ガイド(注8、注10)に詳しい図説があるので参照していただきたい。

図5 KDDI(au)のフィルタリングをカスタマイズ:サイトを個別に許可(図の出所:注8)

○無線LAN(Wi-Fi)接続時のフィルタリング
KDDI(au)の場合、「安心アクセス for Android」「安心アクセス for iOS」とも、無線LAN接続時も有害サイトのアクセス制限が可能だ。
NTT docomoの「あんしんモード」は、ネットスター社の「ファミリーブラウザ for docomo」との連携で、無線LAN接続時も有害サイトの制限が可能になる。iOS端末(iPhone、iPad)についても同様だ。
ソフトバンクの「スマホ安心サービス」は、無線LAN接続時も有害サイトの制限が可能だが、iOS端末(iPhone、iPad)については、「Yahoo!あんしんねっと for SoftBank」の利用で無線LAN接続時も有害サイトの制限が可能になる。

○iOS端末のアプリフィルタリング
各社ともAndroid端末についてはアプリ管理機能がサポートされているが、iOS(iPhone、iPad)についてはサポートされていない。iOSのアプリ管理は、iOS端末が備える機能を使って設定する。
フィルタリング対象の子どものiOS端末(iPhone、iPad)のホーム画面で、「設定」→「一般」→「機能制限」→「機能制限を設定」と進み、「パスコード(暗証番号)」を入力する。入力後、図6の画面に示されている「許可」「コンテンツの許可」「プライバシー」に属する機能・コンテンツを制限できる。ここで指定したパスコードは今後、設定変更や機能制限の解除にも必要になる。子どもがパスコードを知って設定を変えてしまう可能性もあるので、厳重に管理したい。パスコードを失くしたり忘れたりした場合、出荷時設定に復元してパスコードを消去する必要があるので要注意だ。

図6 iOS端末で機能制限を設定する(図の出所:注9)

上掲画面の「許可」のところで、「インストール」をオフにすると、アプリの新規追加はできなくなる。また、「コンテンツの許可」のところで「App」を選び、対象年齢を指定すると、「AppStore」でダウンロードするアプリを対象年齢に限定できる(図7)。ここで「17+」を選択した場合は、対象年齢が4歳以上17歳未満のアプリの利用/ダウンロードが許可され、対象年齢が17歳以上のアプリは制限される。

図7 Appで年齢を指定し、対象年齢外のアプリの利用やダウンロードを制限(図の出所:注10)

○音楽プレイヤーやゲーム機のフィルタリング
前述の通り、近年はゲーム機や音楽プレイヤーを使ってインターネットにアクセスする子どもが増えている。これらの機器は無線LAN(Wi-Fi)通信でインターネットに接続しているもので、携帯電話会社(キャリア)のフィルタリングは提供されない。保護者が気づかず放置すれば、有害サイトにアクセスしてトラブルに巻き込まれる可能性が高いことは、これまで見てきたとおりである。

表2 主なインターネット接続可能な音楽プレイヤー・ゲーム機

種類/メーカー 機種 フィルタリングサービス
音楽プレイヤー
アップルジャパン iPod touch i-フィルター for iOS、Yahoo!あんしんねっと
ソニー ウォークマン i-フィルター for Android、ウイルスバスター モバイル
ゲーム機
任天堂 ニンテンドー3DS i-フィルター for ニンテンドー3DS
Wii U i-フィルター for Wii U
ソニー・コンピュータエンタテインメント PlayStation®Vita トレンドマイクロ キッズセーフティ for PlayStation®Vita
PSP® (PlayStation®Portable) トレンドマイクロ キッズセーフティ for PSP®、i-フィルター for PSP®
PlayStation®4 i-フィルター for PlayStation®4
日本マイクロソフト Xbox 360 フィルタリングサービスは提供されていないが、様々な機能制限を用意
  • (データ出所:注13)

表2は、インターネットに接続可能な音楽プレイヤー・ゲーム機の主なものと、それに対応するフィルタリングサービスの一覧だ。サービスは無料のものと有料のものがあり、機能や設定方法もそれぞれ異なる。IPAが作成した冊子(注13)には、表2に記載した8件の機器のフィルタリングサービスについて、機能や設定方法が詳述されている。画像を多用してわかりやすく説明されているので、これらの機器のフィルタリングを検討している方は、ぜひ参照されたい。

(執筆:現代フォーラム/熊谷)



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