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青少年の「SNS」「LINE」安全利用対策

中高校・大学生が、TwitterなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に悪ふざけ投稿をし、思いもよらぬ結果を招くケースが相次いだ。彼らが日常的に利用している「LINE」も、非公式な利用法により、コミュニティサイト由来の犯罪被害の増加を招いている。将来ある若者を、取り返しがつかない逸脱から守る安全利用対策を考えたい。

■SNSの問題行動――悪ふざけから犯罪まで

安心ネットづくり促進協議会(JISPA)は、青少年がネットのトラブルで加害者にも被害者にもならないための基本行動について検討し、「青少年のネット上の問題行動」(注1)をとりまとめ、公開した。同報告書の「別紙」には「ネット上で問題となった(なっている)実例」15件が紹介されている。表1は、そこから10件の事例を抜粋したものである。

背景色がピンクの事例5件は、投稿した青少年の行動自体が犯罪にあたる。背景色が黄色の事例2件は、犯罪には至らないまでもネットに投稿したために第三者の権利を侵害し、損害賠償請求など民事上の責任が生じる可能性があるもので、場合によっては刑事上の問題となることもある。背景色がブルーの事例3件は、犯罪や民事上の問題にはあたらないが、一般常識から逸脱した悪ふざけ等を自らネットに公開し、トラブルとなった事例である。いずれの場合も、ネットに投稿することによって問題が拡大し、投稿した本人の後々の人生にまで影響を及ぼしかねない事態を引き起こしている。

表1 青少年によるネット上の問題行動(出所:JISPA、注1)

区分 事例 備考
10代の少年数名が、集団で知人らしき少年に暴行を加えている動画を動画投稿サイトに投稿。 少年への暴行は、暴行罪(または加重類型である暴力行為等処罰に関する法律違反)に該当。
男子高校生が、女子更衣室を盗撮してLINEに投稿。 盗撮行為は、軽犯罪法、迷惑条例違反に該当。
男子高校生が「電車の中で、バックで隠して露出している変態」を撮影し、ツイッターに投稿。 投稿行為が「わいせつ電磁的記録媒体陳列罪」に該当。
10代前半の少女が、相手から求められるまま、自らの裸の写真を撮影して相手に送った。写真を送った相手から学校にばらす等と脅迫された。 自分の裸像を撮影する行為は「児童ポルノ製造罪」の構成要素に該当。送らせた側が間接正犯に問われることもある。
③(②) 学校名を使ったランキングサイト(SNS)で、学校内カーストなど生徒名やあだ名が表示されたり、学校の先生ランキングなどが作成されていた。 記載内容によっては、名誉毀損、プライバシー侵害などで民事責任を負担する可能性。
③→② コンビニのアルバイトがアイスクリームのショーケース内に入っている写真をツイッターに公開し、問題化。店側は、廃棄したアイスクリーム代金等を含めて70万円の損害賠償を請求することとなった。その後、業務妨害罪として書類送検されたとの報道あり。 刑法犯として業務妨害罪に該当する可能性。
高校生が「万引なう」というつぶやきとともに、商品を紙袋に入れる画像をツイッターに投稿。炎上後、本人は、実際は万引きしていないと釈明。 「万引き」自体は窃盗罪に該当。犯罪行為を仮装したことになる。
生徒が、SNSに、アルコール類を手に持った写真等の情報を自身で投稿した。投稿した生徒の名前等のプライバシー情報が複数サイトに拡散してしまった。 未成年者飲酒禁止法は、未成年者に対して刑罰は科していないが、飲酒を禁じている。
10代の少年が、下校途中の小学生男児に言いがかりをつけて泣かせている動画を動画投稿サイトに投稿。その後、炎上して、加害少年の自宅が特定されネット上で公表された。 一般社会の規範やモラルに抵触する非常識な行動。
区分①:行動自体が犯罪(暴力、窃盗等)であり、それをネット上にアップすることで問題化する事例
区分②:投稿により第三者の権利を侵害し、民事上の責任が生じる可能性がある事例
区分③:犯罪や民事上の問題にはあたらないが、一般社会の規範やモラルに抵触する事例

■退学や内定取り消しなど想像を超える結果に

区分①の5つの事例(暴行や盗撮、裸の写真撮影、器物損壊など)は、10代の少年少女や高校生、大学生によるものだが、彼らはこれらの行為を犯罪であると認識していただろうか。もし、明らかに犯罪行為であると認識していれば、SNSに投稿したりはしないはずで、明確な自覚はなかったものと推測される。犯罪とは言えない区分②や③の事例についてはなおさらで、ちょっとした悪ふざけ程度の気持ちで問題行為を行い、悪さ自慢のつもりでネットに投稿したと思われる。しかし、ネットに公開された途端、彼らの想像をはるかに超えるリアクションが起こり、問題が拡大していく。

投稿者の個人情報が突き止められてネットにさらされ、アルバイトはクビ、学校は退学、就職の内定が取り消されるなどの悲劇が実際に起きている。悪ふざけの舞台とされた店舗の中には、商品の廃棄、消毒などのために一時休業したところや閉店したケースもある。表1の区分②に示した事例では、店側が70万円の損害賠償を投稿者に請求しており、業務妨害罪にも問われている。表1には含まれていないが、学生が線路に入り込んだ写真を投稿したケースもあり、この学生は鉄道営業法違反の疑いで家裁送致となっている。

■問題投稿の拡散と炎上のプロセス

問題行動の投稿がすべて炎上するとは限らないが、炎上する場合のメカニズム(プロセス)について、同報告書は次のように分析している。

① 火種事例の誕生
本人または他者からネット上に「事例」が発信、公開される。

② 拡散期(前半)
①の情報源を発見した第三者がネット上に投稿を始める。一部ユーザーがSNS等で言及を始め、それをトリガーとする会話が始まる。

③ 拡散期(後半)
会話の輪が広がる。ときには情報発信力が大きい発言者等も加わり、急速な拡散が始まる。一部マスコミ等に取り上げられ、拡散を助長することもある。

④ 炎上期
事例の背景や経緯、ネット上での会話履歴、個人情報等も暴露された「まとめサイト」が登場。これを読んだ新規ユーザーも加わり騒動が大規模化する。マスコミ報道も多数となり、さらに拡散が広がる。

拡散から炎上へ至るスピードは速く、多くの場合、なすすべもなく鎮静化を待つしかないのが実情だ。このプロセスで暴露された個人情報と問題行動の内容がネット上に半永久的に残り、青少年の後々の人生にまで影響を及ぼしかねない。これらの問題行動は、ネットが無かった時代には若者の「一時期の逸脱」で済むことも多かったが、ネットが広く普及した今日では、それでは済まなくなってしまっている。

■青少年を守るSNS利用のガイドライン

青少年が起こしやすい逸脱行動の意味(違法性、反社会性)と、それをTwitterやSNSに書き込んでしまうことの意味(厳しい制裁を受ける、半永久的影響がある)を、家庭や学校でしっかり教えることは、青少年保護の観点からも非常に重要だ。同報告書は、青少年には次の3点を認識してほしいと訴えている。

  • ・実社会で許されないことはネット上でも許されない
  • ・インターネットにおいても投稿者、行為者は特定しうる
  • ・一度発信した情報を完全に削除することは困難なので、ネットに投稿する場合は、半永久的に残ってもよいものかどうか責任をもって判断する。判断に迷う場合は投稿しない。

同協議会はこれらのポイントをまとめたガイドラインの作成例を公開している。次のURLで閲覧できるので、参考にしていただきたい。

・「ソーシャルメディアガイドライン」作成例① ── 学校から中高生へ
主に中学生・高校生のために学校が用意するガイドラインのサンプル。
http://www.good-net.jp/safe-internet/uploads/guideline_sample1.pdf

・「ソーシャルメディアガイドライン」作成例② ── 保護者から子どもへ
主に小学生・中学生のために家庭で作るガイドラインのサンプル。
http://www.good-net.jp/safe-internet/uploads/guideline_sample2.pdf

また、IPAはYouTubeのIPA Channelで、下記の動画を公開している。投稿写真が火種になってネットが炎上するドラマ仕立てで、SNSを安全に利用する心得について学ぶことができる。こちらもぜひ参照されたい。

・あなたの書き込みは世界中から見られてる-適切なSNS利用の心得-
http://www.youtube.com/watch?v=tVZSuGkmnGQ

■コミュニティサイトの犯罪被害児童増加

昨年10月掲載のトピックス(注2)でもお伝えしたが、「コミュニティサイト」での出会いをきっかけに起きる事件と被害児童数が、2013年は減少から増加に転じた。同記事に掲載した数字(検挙件数859件、被害児童数598人)は2013年上半期のものだが、今年2月に1年間の数字が発表された(注3)。それによると、2013年中にコミュニティサイト起因で児童が犯罪被害にあった事件の検挙件数は1804件、被害児童数は1293人で、それぞれ前年比で493件(37.6%)、217人(20.2%)増加している。

図1をご覧いただきたい。出会い系サイトおよびコミュニティサイトでの出会いをきっかけに起きた事件の被害児童数(棒グラフ)と、検挙件数(折れ線グラフ)を示している。出会い系サイト起因の事件や被害児童は減少が続いており、コミュニティサイト起因の被害も2011年以降は減少していた。しかし、コミュニティサイトは2013年に再び増加に転じ、1年間の検挙件数・被害児童数とも、この5年間で最も多くなってしまった。

警察庁は増加した理由として、昨年9月の発表資料(注4)と同様、「無料通話アプリのIDを交換する掲示板に起因する犯罪被害」の増加を挙げている。無料通話アプリとしてもっとも子どもたちに利用されているのはLINEであり、そのID交換によって見知らぬ者同士が出会う機会が増えたことが、被害を増加させていたのである。


図1 出会い系サイトおよびコミュニティサイトに起因する被害児童数と検挙件数(出所:警察庁、注2)

■中高生の8割が日常的に利用する「LINE」

LINEは、2011年6月にサービスを開始した無料通話・無料メールアプリで、世界のユーザー数は今年4月1日に4億人を突破した。昨年10月、中高生を対象に行われた調査結果では、中高生の約8割が友だちとのコミュニケーションにLINEを使っている(図2)。


図2 中高生のコミュニケーション方法(複数回答形式)(出所:Gaba、注5)

総務省が今年4月に公表した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査(速報)」でも、ソーシャルメディアのうちLINEの利用率がもっとも伸びており、10代の70.5%、20代の80.3%が利用しているという結果だった(図3)。


図3 ソーシャルメディアの利用率。LINEは10代で70.5%、20代で80.3%が利用(出所:総務省、注6)

コミュニティサイト起因の犯罪増加の原因とみられるLINEの「ID交換掲示板」とは、LINEユーザーが新しい出会いを求めて利用する非公式のWebサイトやアプリのことである。ここでLINEのIDを公開すれば、電話番号やメールアドレスを知らせることなく、不特定多数のユーザーとチャットなどができるようになる。ここで児童を狙う悪意の相手からアプローチを受け、犯罪に巻き込まれる事態が頻発したとみられる。

■安全な「LINE」利用の鉄則

LINEの利用規約は、見知らぬ異性との出会いを目的とする利用を禁止している。非公認のID交換掲示板で見知らぬ人と友だちになることも、トラブルの元として注意を促している。LINEの運営会社はそうしたトラブルを未然に防ぐため、18歳未満のユーザーについては、「ID検索の利用停止」「18歳未満のユーザーのID検索をしても検索結果に出てこない」「プライバシー管理の[IDの検索を許可]が自動的にオフ設定となる」対策を進めている。

2012年12月20日からau(KDDI)のAndroidスマートフォン、2013年9月30日からはNTTドコモとソフトバンクのAndroidスマートフォン、そして2013年12月12日からはau(KDDI)・NTTドコモ・ソフトバンクのiPhoneについて、18歳未満のユーザーを対象としたID検索機能の利用を制限している。今後、これら以外の機種に対しても同じ機能制限を順次適用する予定という。この対応により、18歳未満のLINEユーザーがID交換掲示板で危険人物と接触する危険は縮小していくはずで、2014年のコミュニティサイト起因の事件や被害児童数は再び減少に向かうことが期待される。

コミュニティサイトの話とは離れるが、LINEの利用については、冒頭に述べた「問題行動」にも留意していただきたい。表1には「男子高校生が、女子更衣室を盗撮してLINE上で投稿した」事例が紹介されている。盗撮映像だけでなく、自ら撮影した裸の写真をLINEに流してしまうケースも後を絶たない。教師が目を離した隙に、生徒がクラスや学年の成績簿をスマートフォンで撮影し、LINEに流してしまったというニュースもよく目にする。

スマートフォンが広く普及し、写真撮影がどこでも手軽にでき、それを仲間内に送信することも瞬時にできてしまうことが、こうした問題行動の背景にある。前途ある子どもたちが取り返しのつかない事故を起こしてしまわないように、家庭や学校で、社会全体で、必要な情報教育をしつつ、見守っていきたい。

(執筆:現代フォーラム/熊谷)

(注2)SNSやLINEで頻発するトラブル――子どもを守る利用の鉄則(2013年10月、セキュリティ通信トピックス)
http://www.so-net.ne.jp/security/news/newstopics_201310.html

(注3)平成25年中の出会い系及びコミュニティサイトに起因する事犯の現状と対策について[PDF](2014年2月27日、警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h25/pdf02-2.pdf

(注4)平成25年上半期の出会い系サイト等に起因する事犯の現状と対策について[PDF](2013年9月12日、警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h25/pdf02-1.pdf

(注5)中高生の日常生活と勉強に関する調査[PDF](2013年10月、Gaba)
http://www.gaba.co.jp/static/20131008.pdf

(注6)平成25年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査<速報>[PDF] (2014年4月、総務省)
http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2014/h25mediariyou_1sokuhou.pdf



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