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案内人 公文義博 手作り職人・陶芸家(富士見町)

窯元を営みながら手作りの良さを伝える

「茜窯」という窯元で食器や酒器、花器、盆栽鉢などを製作している公文さんにお話を伺いました。

手作り職人・陶芸家として

私の本職は陶芸家で、八ヶ岳のふもと、小渕沢に近い富士見町のはずれにある「茜窯」という窯元で食器や酒器、花器、盆栽鉢などを製作しています。

東京の大学を卒業して7年間会社員をしていたんですが、陶芸の道に目覚めて会社を辞め、愛知県の瀬戸や岐阜県の美濃で修行を積んできました。その後、八ヶ岳のリゾート施設の陶芸教室の講師に招かれたのが30年以上前。1986年には富士見町に自分の窯を築き、それ以来創作活動を続けています。

仕事は陶芸ですが、手作りの道具を作って遊んだり、アウトドアが大好きで、若い頃は南アルプスの山の中を探検して暮らしたりもしていました。

今回の体験で作って遊ぶかんじき(手作りスノーシュー)も、私が独自に考案して作ったものなんですよ。作ろうと思ったきっかけは、たまたまだったんです。10年ほど前のお正月、ふっと庭の木の枝を見たらひらめいて、枝を曲げてみたらよくしなる。「これはかんじきになるんじゃないかな?」って思って作ってみたら上手くできたんです。当時ご縁があった地元の養護学校の子どもたちにプレゼントしたいと思っていくつか作ったらみんな喜んでくれてね。それでたくさん作るようになったんです。

富士見の魅力

この町の良さは、まずは景色かなあ。八ヶ岳や南アルプスの雄大な山脈を眺められるだけではなくて、里山の穏やかな人々の営みも身近に感じられるところ。バランスがいいんですよね。最初に講師として招かれた時に「ここなら一生住めるな」と思いました。

それと、コテコテの閉鎖的な農村ではないところもいいですよね。この地域は、古くから外からの人を受け入れてきた伝統があるんです。地元の人と外からの人が「ほどよく」付き合っているという感じが居心地が良いですよね。

最近は、作った作品の販売会で毎月関西のデパートを回る生活を続けています。それが終わると富士見に帰って来るんですが、そのたびに女房と「やっぱりこの場所が一番いいよね」って話しています。

かんじきあそびと“遊びの本質”

このかんじき、一目見ただけだとあまり立派そうには見えないでしょう(笑)

でもね。遊びって「見た目の立派さ」と「中身の面白さ」が反比例することの方が多いんですよ。豪華で完成されたモノは、工夫の余地が無くてちょっとさびしいんじゃないかな。

このかんじきはそこらへんにある木の枝から作ったものですが、それを「どうしたら面白く使えるだろう?」と考えること。それが遊びの「キモ」だと思うんです。

実際にかんじきを作る際には材料や道具はこちらで用意しますが、雪質や自分の体重によって、色々と工夫をして作ってもらいます。冬の降雪直後のふかふかな雪なら大きめ、春先のしまった雪なら小さめにするとか、真ん中に通す網の太さや本数もその時々の試行錯誤です。そういったことを考えるのが楽しいんですよね。

工夫のない遊びほどつまらないものはないでしょう? 高いお金を払って便利なものを買って「使うだけ」もいいんですが、「作ってみて」上手くいかなければ「改良してみる」ということを経験してほしいですね。

遊びに来てくれる皆さんへ

そういった「遊びかた」の醍醐味を知ってもらえばこの体験は成功。そうしたら、海に行っても山に行っても、どこでも自分なりの楽しみかたができると思いますよ。だから、絶対失望させません(笑)

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