Sony
Sony
メニュー
閉じる

松崎順一の昭和プロダクト考古学

ナショナル COUGAR RF-888 カタログ

ナショナル COUGAR RF-888 カタログ

家電蒐集家松崎が考古学的アプローチで昭和時代の様々なカタログを読み解くコーナー。第12回目はナショナルから73年に発売された進化した高性能ポータブルラジオ初代クーガを取り上げます。

ナショナル独自のラジオ論から考え出された大胆なフォルムとニックーム「吠えろクーガ」が今までのラジオ感を変えた!

以前ゴールデン横丁のレトロラジオ・ラジカセ館の中でも紹介されている、ナショナルが1974年に発売した「吠えろクーガ」の愛称で親しまれたラジオ、RF-888のカタログを今回は紹介していきます。この頃のカタログは今と違い全体が重厚なものが多い。当時は宣伝媒体というとテレビを中心にラジオ、そして書籍の広告が中心で、あとは店頭に置いてあるカタログが命だったように思います。筆者がクーガの後継機種クーガ7を知ったのも街の電気店のショーウインドだった。

ガラス越しに棚に展示されていたクーガ7は眩しいほど輝いていたことを覚えている。RF-888は型番からみるとクーガ以前に発売していた「ワールドボーイ」の後継機種にあたる。「ワールドボーイ」も大変人気のあったシリーズで筆者も幾つかの機種を持っている。「ワールドボーイ」シリーズはどれもシンプルで端正なデザインが多かったが「クーガ」シリーズになってラジオのデザインコンセプトもかなり大胆で挑戦的になったと思っている。そしてクーガ初代RF-888はこの後ブームがくるBCLとはまだ無縁のラジオで、音の良さとパワーが売りの製品だった。それでは具体的にカタログを見てみよう。

カタログの大きさはA4で裏表で8ページの構成になっており表紙は愛称の「吠えろクーガ」を4ページに渡って筆文字で描かれたもので4ページを一気に見るとこのようになる。かなりの迫力で、このまま額に入れて飾ってもいいくらいだ。

top-A

 

最初のページには「COUGER」のロゴと「音が燃える16㎝ダブルレンジスピーカ」の文字が控えめにレイアウトされている。「COUGER」のロゴの「O」の中の中黒点は多分ダブルレンジスピーカーを表現したのかもしれない。そしてここでは愛称だけで製品名が出てこない潔い表紙だ。

a-1
a-2
a-3
a-4

 

それでは裏面を見てみよう。裏面もまず4ページ全体を見てみよう。表のシンプルな構成から一気に濃密な構成になっていて表裏の対照的なデザインが斬新だ。

TOP-B

 

そして1ページをはみ出して登場するのはRF-888の分解写真と、普通のカタログでは最後にあるブロックダイヤグラムと定格表だ。内部の分解図は70年代よく使われていた表現で通常は手書きイラストが多いが、これははっきりは分からないが写真を使っていると思われる。そしてRF-888の特徴が5項目明記されている。

b-1

 

裏面の2ページ目からはその5項目の特徴が書かれている。黒地に白文字なのでちよっと読みづらいがCOUGERのオレンジ文字は鮮烈な印象を感じる。そして16センチを強調しており燃えるという表現がRF-888のコンセプトを全て表現しているように思う。FMラジオなのでやはり音のよさが必須なのだろう。更に3ページに渡って細かく表現されたスペックは見るだけで欲しくなる要素が詰め込まれている。これほど情熱を感じるカタログはこの時代でも少なかったであろう。

b-2
b-3
b-4

 

出典: 松下電器産業株式会社「ナショナル・パナソニック ラジオ COUGER」カタログ  (1973年)

コンテンツパートナー紹介

松崎 順一(まつざき じゅんいち)

家電蒐集家・デザインアンダーグラウンド工場長。1960年生まれ。インハウスデザイナーを経て2003年よりデザインアンダーグラウンドを設立し活動を開始。近代家電製品の蒐集・整備・カスタマイズ等を手掛ける。近年は特にデジタル世代へのメイド・イン・ジャパン家電の持つ魅力をカルチャーとして伝える活動をイベント、執筆等、広範囲に展開中。

デザインアンダーグラウンド

 

book_matsuzakiラジカセのデザイン! 増補改訂版(立東舎)

この記事にコメントする

  • Facebook
  • Twitter

▼コンテンツパートナー

matsuzaki_banner