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松崎順一の昭和プロダクト考古学

ソニー 白黒テレビ 総合カタログ

ソニー 白黒テレビ 総合カタログ

家電蒐集家松崎が考古学的アプローチで昭和時代の様々なカタログを読み解くコーナー。第11回目は1人に1台のパーソナルテレビ時代を牽引したソニーの白黒テレビカタログを取り上げます。

あえて白黒というデメリットを「光と影の哀愁」というコピーで昔の名画を見るには最適というメリットに転換した発想がとても素晴らしい。

70年代テレビはまだまだ高価な家電製品の一つで、どの過程も1家に1台、茶の間に堂々と鎮座していたものである。70年代の家庭用テレビは筐体が木製で重厚な家具調テレビが主流で、家電を超えた存在だった。そんなテレビは60年代の真空管方式から70年代にはトランジスタやICも登場し、様々な進化を繰り返していた。その一つが小型化による個人のテレビ、つまりパーソナル化が進み、まだ高価ながら比較的コンパクトなテレビが70年代後半くらいから登場し始めた。その牽引力の一つがソニーの白黒テレビのラインナップだ。

テレビがカラーになるには80年代を待つことになるが白黒もまた独特で味わい深い映像が楽しめた。平成生まれの方には白黒テレビというものは理解し難いと思っているが昭和35年生まれの筆者にとってはテレビの遍歴を目の当たりに見てきており白黒のテレビでもポータブルには憧れたのである。1977年は前回ご紹介したBCLのブームもまだ続いていた時代で、実は短波も勿論だがテレビの受信も流行っていたのだ。テレビ放送のBCLというと家にある大型のテレビでも受信できるのだが小型で持ち運びが可能なポータブルテレビは山登りのお供にされ、山頂でテレビを受信すると普段見たことがない地方ローカル局が受信できたこともありテレビのBCLも楽しめたのだ。それでは今回ご紹介するソニーの白黒テレビの総合カタログを見てみよう。

 

表紙は1977年に新発売されたばかりのTV-401を並べ懐かしの洋画を合成で入れていてとても物欲をそそるカッコ良さだ。ちょっとキャプションが小さいが合成の映画は1943年の「カサブランカ」でもちろん白黒映画だ。白黒テレビには白黒映像はベストマッチングだと思う。

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そして中をめくると製品のラインナップが現れるが見開き状態では右ページにセピア調で表現された洋画「ある日の出来事」が。映画という誰もが好きな映像をソニーのモノクロテレビで楽しもうというキャプションも哀愁を感じてしまう。

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それでは製品ラインナップのページを見てみよう。ここは3ページにわたって繋がって一気に紹介されている。左側から最初に登場するのは表紙に登場したTV-401だ。画面は4インチで従来の製品よりもひと回り大きい。チューニング部は丸窓のスケールがメカニカルでかっこいい。丸窓は小型テレビ共通のデザインらしい。さらにラジオ部はなんと当時大人気のラジカセCF-1980マーク5のラジオ部を搭載し短波も入る3バンド設計と豪華な作りだ。その下には従来の製品が2機種紹介されている。こちらもシックなデザインで悪くない。

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次の真ん中のページには76年に発売されたFX-400ジャッカルと、画面が90度回転するTV-501ミスターネロが紹介されている。FX-400はラジカセのカテゴレーにも属するが型番のFXはラテカセ系に与えられている型番だ。スペックの紹介も洒落ている。ミスターネロは筆者も2台持っているがとても面白い製品だと思っている。

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次のページにはスタンダードな14型の白黒テレビが載っている。ユニークな製品が沢山ある中に一台だけスタンダードなテレビは逆に新鮮に見えてしまう。各ページで紹介されている白黒映画もカタログの良いアクセントになっている。

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そして最後のページはお決まりの規格表になるが、その上部にオーディオスコープTVチューナーVT-M5が紹介されている。実はこのVT-M5は筆者も持っていて地デジ化前まではTVも見られ、音の波形をオシロスコープのように楽しむことが出来る優れもので一つあると楽しい製品だ。

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出典: ソニー株式会社 白黒テレビ総合カタログ  (1977年)

コンテンツパートナー紹介

松崎 順一(まつざき じゅんいち)

家電蒐集家・デザインアンダーグラウンド工場長。1960年生まれ。インハウスデザイナーを経て2003年よりデザインアンダーグラウンドを設立し活動を開始。近代家電製品の蒐集・整備・カスタマイズ等を手掛ける。近年は特にデジタル世代へのメイド・イン・ジャパン家電の持つ魅力をカルチャーとして伝える活動をイベント、執筆等、広範囲に展開中。

デザインアンダーグラウンド

 

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