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松崎順一の昭和プロダクト考古学

シャープ エルシークォーツF1 カタログ

シャープ エルシークォーツF1  カタログ

家電蒐集家松崎が考古学的アプローチで昭和時代の様々なカタログを読み解くコーナー。第7回目は独創的な家電を多く輩出したシャープが作った高級電卓のカタログを取り上げます。

70年代後半マイコンの誕生によって多機能で国際感覚を持ったハイテク電卓がシャープから登場した。

筆者の中で、シャープと言えばユニークな家電メーカーとして今でも大好きな会社だ。中でも好きな家電の一つに今回紹介する電卓の翌年に登場した「ソロカル」がある。「ソロカル」とはソロバンとカリキュレーターを組み合わせた造語だと思われるが実際に形にしてしまったところがすごいと思っている。まさにアナログからデジタルへの時代の移り変わりを象徴した電卓だった。

こちらもいつか紹介したいと思っています。

そして今回紹介するカタログは1977年に発売された電卓で「ソロカル」の登場の前年に誕生した当時のハイテクの結晶のような製品だ。

 

それではカタログを見てみよう。表紙のレイアウトはこの当時のシャープの家電全般に通じるデザインで上部にシャープのロゴと製品のコンセプトが簡潔に表示されている。元インテリアデザインをしていた筆者が思うに、カタログは家電店に置かれた時にカタログスタンドに入れられ、重なってしまうためカタログの上部だけが見えるだけになる。そのために社名と特徴が重なっても分かるデザインにしたと考える。

またメインの画は女性が「エルシークォーツF1」を自由自在に操っている様はまるで千手観音のようで下部にあるキャッチコピー「美人多才」を表現したものだろう。

F1-1

 

では表紙をめくって中を見てみよう。中は見開きになっていて「エルシークォーツF1」 の10大機能が順に表現されている。まずは本体のデザインだが本体には蓋がついており、黒ペースにと金色が使われていて高級感が漂う一見化粧品のケースのようだ。

ちょっと気になったのが世界地図でヨーロッパが真ん中になっている。外国ではよく見る配置だがケースに収めやすいためにこのレイアウトになったのだろう。そして肝心の電卓機能だがなんと9番目に紹介されており、その他の紹介が多くのレイアウトを占めている。

70年代は携帯もなくこの電卓が出た77年はやっと家庭用のTVゲームが出てきて話題になった時代だ。そんな時代の多機能電卓はさりげなく取り出して使うたびに注目されたに違いない。

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そして最後のページは全てが機能紹介とその他の具体的な機能例が載っている文章だらけのページだ。電卓は80年代に入ると更に進化してこれらの機能の殆どは新しく登場したポケットコンピューターに受け継がれていくのである。高級感を演出した多機能電卓「エルシークォーツF1」は70年代ならではのデジタル製品の味付けだったと思っている。

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出典: シャープ株式会社「エルシークォーツF1」カタログ (1977年)

コンテンツパートナー紹介

松崎 順一(まつざき じゅんいち)

家電蒐集家・デザインアンダーグラウンド工場長。1960年生まれ。インハウスデザイナーを経て2003年よりデザインアンダーグラウンドを設立し活動を開始。近代家電製品の蒐集・整備・カスタマイズ等を手掛ける。近年は特にデジタル世代へのメイド・イン・ジャパン家電の持つ魅力をカルチャーとして伝える活動をイベント、執筆等、広範囲に展開中。

デザインアンダーグラウンド

 

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