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松崎順一の昭和プロダクト考古学

フイリップス・フィリシェーブ カタログ

フイリップス・フィリシェーブ  カタログ

家電蒐集家松崎が考古学的アプローチで昭和時代の様々なカタログを読み解くコーナー。第6回目はカセットテープを生んだオランダの フイリップス社のシェーバーのカタログを取り上げます。

フィリシェーブは日本の職人気質に負けないフイリップスの伝統技が光る家電だった。

フイリップスと言えば世界的に有名なオランダの家電メーカーだが、筆者の中では50年代以降に製造されたオーディオ機器が好きで今でもそのシンプルでモダンなデザインは色褪せていない。

 

更に大好きなラジカセの必需品カセットテープを生んだオーディオメーカーとしての印象が強い。因みにカセットテープは1962年頃に開発され63年頃から世界的に売り出された録音メディアだ。当時はドイツの会社が開発したコンパクトテープもあったがフイリップス社のカセットテープに軍配が上がった。その陰には日本のソニーの強い後押しもあったと言われている。そんなフイリップスも現代ではオーディオメーカーよりもシェーバーの会社として有名になっている。

 

今回紹介するカタログはフイリップスが現行の製品の元祖になると思われる1975年頃のカタログで、60年代後半に3ヘッドタイプが完成してから更に高級感を増したモデルが登場している。

 

それではカタログを見てみよう。まずカタログのサイズだがA4では無くB5に近いサイズでややコンパククトだ。表紙の写真はロダンの考える人をモチーフにした一見ブロンズ像に見えるがよく見ると本物の人間がポーズをとっているさまざまな意味合いを感じるさせる表紙だ。

P-1

 

そして中を開くと目に飛び込んでくるのが見開ページで表現された3ヘッドシェーバーだ。スッキリとレイアウトされたページには「ヨーロッパの職人気質とは?」の問いかけで始まる。30年間の研究結果が3ヘッドでテレホンフック型という理想の形が生まれる流れが書かれている。

P-2

 

さらにシェーバーの写真は造りの堅牢さが伝わってくる感じだ。

P-3

 

見開きのページをめくるとシェーバーの内部が現れる。3つのローター(回転軸)とポップアップ式のトリマーの構成がよくわかる図だ。フィリップスは3ヘッドに行き着くまでに4ヘッドや6ヘッドの試作機もあったようだが肌のカーブに沿うには3ヘッドが良かったようだ。

P-4

 

その次のページは裏から覗いたヘッドの内部と品質の良さ、そして使いやすさが分かり易く紹介されている。ヘッド内部は細部まで堅牢に作られているのがよく分かりヨーロツパのクラフツマンシップを感じてしまう。

P-5

 

最後のページは当時のラインナップが載っている。この頃は充電式ではなかったのでコードが付いているがシルバーとブラックで統一されたデザインは今見てもかっこ良い。フィリシェーブは家電だが工芸品に近い感覚が収集家の筆者にとっては興味をそそられるカタログだ。

P-6

 

出典: 日本フィリップス株式会社「フィリシェーブ」カタログ (1975年前後/推定)

コンテンツパートナー紹介

松崎 順一(まつざき じゅんいち)

家電蒐集家・デザインアンダーグラウンド工場長。1960年生まれ。インハウスデザイナーを経て2003年よりデザインアンダーグラウンドを設立し活動を開始。近代家電製品の蒐集・整備・カスタマイズ等を手掛ける。近年は特にデジタル世代へのメイド・イン・ジャパン家電の持つ魅力をカルチャーとして伝える活動をイベント、執筆等、広範囲に展開中。

デザインアンダーグラウンド

 

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