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松崎順一の昭和プロダクト考古学

トリパブ 株式会社「トリパブA・B 」「トリパブ カラー」& riwi「スピードレタリング」

トリパブ

家電蒐集家松崎が考古学的アプローチで昭和時代の様々なカタログを読み解くコーナー。第3回目は昭和のデザイナー達に愛された?デザインツールを取り上げます。

昭和のデザイン室はオシャレなイメージとは程遠いハードな仕事場だった。

昭和という時代に何らかのデザインのお仕事をされていた方なら今回紹介する「トリパブ 」は一度は聞いた事があるか、若しくは使ったことがあるかも知れないデザイン業界ならではの製品だ。

 

まず「トリパブA・B 」は定着液というデザイナーが描いたデザイン画が擦れて汚れるのを防ぐために描いた後吹き付けて使用する製品だ。

 

当時は今のようにパソコンのモニター上でレイアウトし完成という訳にはいかなく、デザイン用紙に鉛筆で下書きしそれを烏口等でトレースしてポスターカラーなどで着色するという工程で一枚のデザイン画を完成させていた。

また、パステルやコンテを使ってのデッサンも多くデザイナーは発想をカタチにするのは勿論だが、とにかく汚れと戦った。

 

筆者がデザイナー時代は「トリパブ 」を吹き付ける時にはデザイン画を専用の箱を作ってその中で吹き付けていた。そうしないとデザイン室に「トリパブ 」特有の匂いが漂ったり床がベトベトになったからだ。また噴霧した気体を吸わないようにマスクもして防護した。

それでも周辺は結構汚れていたが。

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トリパブ

 

全てが手作業の昭和のデザイン室に「トリパブA・B 」は必需品だった。そんな「トリパブ 」には定着液のA・B以外に「トリパブ カラー」という着色スプレーがあった。さずがに筆者の時代よりも前の時代の製品になる。モノクロのモデル女性の写真にオレンジを吹き付けカラー化にしたのがカタログの表になる。かなり時代感を感じさせる。モデルの女性が来ているワンピースもかなりのミニで、この写真からミニスカートが流行った60年代後半から70年前半の製品だと推測した。

トリパブ

 

裏を見るとスプレーは当時6色あったようだ。多分これでも当時は画期的な製品だったのだろう。

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そして最後の1枚が同時代のデザインツールで西ドイツのリーウィ製の「スピードレタリング」だ。レタリングと言えば筆者と同世代はカセットテープのラベルにインスタントレタリング通称インレタを一生懸命貼り込んだ記憶があるだろう。

よく使うアルファベットはすぐ無くなってしまうため他の文字を改造したり工夫したことが懐かしい。

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このスピードレタリングは耐水性、耐光性のありそうな素材PVCで作られていて当時は多目的に活用されたに違いない。ただ文字の色は黒一色だったのかはカタログにも載っていなく不明だ。

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昭和という時代のデザイナーは湧いてくるアイデアとそれを表現するための膨大なデザインツールとの格闘戦だったと今さらながら思っています。

 

出典: トリパブ 株式会社「トリパブA・B 」「トリパブ カラー」& riwi「スピードレタリング」カタログ (1970年頃/推定)

コンテンツパートナー紹介

松崎 順一(まつざき じゅんいち)

家電蒐集家・デザインアンダーグラウンド工場長。1960年生まれ。インハウスデザイナーを経て2003年よりデザインアンダーグラウンドを設立し活動を開始。近代家電製品の蒐集・整備・カスタマイズ等を手掛ける。近年は特にデジタル世代へのメイド・イン・ジャパン家電の持つ魅力をカルチャーとして伝える活動をイベント、執筆等、広範囲に展開中。

デザインアンダーグラウンド

 

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