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三澤敏博の幕末維新グルメ

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【幕末維新グルメその6】東郷平八郎、本人が認めた秩父御嶽神社の銅像と煎餅の物語

若松屋菓子舗の東郷煎餅:吾野(埼玉県飯能市)

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美しい自然と、懐かしい町並みが郷愁を誘う埼玉・吾野(飯能市)。

市内の秩父御嶽神社には、激動の幕末を駆け抜け日露戦争においては連合艦隊司令長官を務めた薩摩藩士・東郷平八郎の像が建つ。

この銅像建立が遠因し、秩父にひとつの銘菓が生まれた。

美しい町並みを彩る埼玉・吾野

北川村の大庄屋の家に生まれた中岡慎太郎
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秩父に隣接する吾野は、かつて秩父街道の宿場町「吾野宿」として栄えた。

古くから林業で栄え、一帯に広がる杉や檜は、「西川材」として美しい江戸へ運ばれた。

現在も周囲には大正期の古民家が建ち並び、埼玉県景観モデル地区にも選定されている。

 

春夏秋冬それぞれ美しい景色を彩るが、なんといっても紅葉に染まる秋の季節には秩父御嶽神社の「もみじまつり」が大きな賑わいを見せる。

秩父御嶽神社を建立した鴨下清八と東郷平八郎

復元された中岡慎太郎の生家

秩父御嶽神社。鳥居の扁額や山門前の石柱は東郷の筆によるもの

 

秩父御嶽神社は明治27(1894)年、百姓の家に生まれた鴨下清八によって建立された。

幕末、国学者の井上頼圀らに学んだ清八は十八歳の頃、母が病に倒れた際に、木曽御嶽山の行者となり、平癒祈願を行った。

結果、見事に母は回復したことから、秩父御嶽神社を創建するに至ったのだ。

山林に囲まれた北川村の風景

秩父御嶽神社内に建つ鴨下清八像

 

現在、秩父御嶽神社の境内には東郷平八郎の銅像が建ち、「東郷公園」として整備されている。この像は大正14(1925)年、清八によって建立されたものである。

 

東郷平八郎といえば、日露戦争における日本海海戦で有名であるが、幕末維新における活躍も見逃せない。

そもそも東郷は薩摩藩の出身で、西郷隆盛や大久保利通と同じ鹿児島県下加治屋町に生まれた。

15歳の頃、薩英戦争で初陣を飾り、戊辰戦争では箱館戦争まで戦った。

 

箱館戦争における宮古湾海戦では、奇襲を仕掛けた土方歳三らとも刃を交えている。

東郷はその後、英国に留学するが、この奇襲戦は海外にも伝わっており、イギリス人からも英雄視されたそうだ。

また後年までこの戦いを忘れず、その経験は日本海海戦の際にも采配に活かされたのだという。

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東郷が司令長官として乗船した連合艦隊旗艦の「みかさ」(横須賀市)    

 


清八は日本海海戦を勝利に導いた東郷の武勲と威徳に大きな感銘を受け、東郷の名言「皇国ノ興廃此ノ一戦ニ在リ」に基づき「一戦」を「一銭」として、毎日一銭の貯金を続けた。

さらに東郷の威徳を広く後世にまで伝えるべく、その銅像を建立しようと考えたのだ。

 

そこで、その承諾を得るべく東郷を訪ねたのだが、東郷は、生前に自身の銅像を建立することを断固認めなかった。

除幕式には自身も出席した東郷平八郎

だが清八はあきらめなかった。

三年にわたり東郷の屋敷を訪ねること百余回

そのうち面会できたのは五十七回にも及び、ついに東郷も清八の誠意を受け止め、銅像の建立を許した。

かくして大正14(1927)年、唯一の東郷生前の銅像は建立に至った。

室戸岬に建つ中岡慎太郎像

秩父御嶽神社の「東郷公園」に建立されている東郷像

 

東郷の希望により、銅像は身の丈二・五メートルの凱旋当時の姿で作られた。

四月十七日の除幕式には東郷本人をはじめ、堀内文次郎中将や小笠原長生海軍中将らも参列した。

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除幕式の様子。左より四人目が東郷本人

銘菓「東郷煎餅」の誕生

東郷の銅像を建立した清八はさらに「日々の生活の中でも、その精神に触れるにはどうすればよいか」と東郷に教えを請うた。

 

すると東郷は三つの揮毫を書き与えた。

明治天皇の御製

「目に見えぬ 神の心に通うこそ 人の心の誠なり」

「此在一戦」

「忠実」

の3つだ。そして「これを焼印にして、茶菓にしてはどうか」と提案したのだった。

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東郷にお墨付きをもらった銘菓「東郷煎餅」

 

清八は感激し、これを「東郷煎餅」と名付けると、吾野の菓子店「若松屋」に製造を依頼した。これが現在も販売を続ける銘菓「東郷煎餅」である。

 

完成した菓子は早速、東郷へも届けられ、「これでよろしいでしょう」とのお墨付きを得た。

東郷邸を訪れた高官たちにも、東郷自らが供したと伝わる。

 

以来、「若松屋」では当時の製法のままに、その精神を込めて「東郷煎餅」が製造されている。

秩父御嶽神社参拝の際には、是非とも購入したい銘菓である。 

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店内には東郷愛用の鉄瓶も展示されている

今回紹介した幕末維新グルメ

若松屋菓子舗の東郷煎餅

埼玉県飯能市坂石町分210

042-978-1261  木曜日定休

インターネットでの購入も可能

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次回予告

中岡慎太郎と北川村の柚子

【幕末維新グルメその7】

山岡鉄舟が愛した江戸蕎麦の名店!!

虎ノ門大坂屋砂場:東京/虎ノ門

 

江戸蕎麦の名店、大坂屋砂場。

伝統の味は多くの人々を魅了し続けてきたが、その一人に、江戸城無血開城の影の立役者、山岡鉄舟がいる。

蕎麦好きで知られる鉄舟が愛した味と、店に伝わる歴史秘話を紹介!!

 


このコーナーは、毎週日曜日の20:45に更新します。

大河ドラマを見たら忘れずチェック!日曜夜の新習慣です。

 

次回は8/12(日)の予定です。お楽しみに。

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