マッチレビュー

明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ 決勝 第2戦 浦和レッズ戦

金崎の2発で逆転勝利!鹿島、7年ぶり8回目のJ1制覇!

魂の90分間の先に、最高の景色が待っていた。7年ぶりのリーグ制覇を懸けたチャンピオンシップ決勝第2戦。埼玉スタジアムに乗り込んだ鹿島は「2点以上を奪って勝つ」という任務を遂行してみせた。開始7分に先制ゴールを奪われたが、40分に金崎がダイビングヘッドを突き刺して同点に。そして79分、鈴木が奪ったPKを金崎が決めて逆転に成功し、2-1と勝利を収めて歓喜の時を迎えた。

鹿島は11月29日の決勝第1戦で、浦和に0-1と敗れた。前半はアウェイゴールを奪われないことを最優先に、重心を下げた戦い方を選択。シュートゼロに終わったが、無失点でハーフタイムを迎えた。内容が低調と見る向きもあるが、スコアレスでの折り返しは狙い通りの展開だった。

しかし後半、西のチャージがファウルと判定され、阿部のPKでゴールネットを揺らされた。柴崎とファブリシオ、伊東を投入して敢行した反撃も及ばず、0-1で試合終了。聖地・カシマスタジアムで、心の底から悔しい敗戦を喫した。

しかし、まだ何も終わっていない。下を向く必要はない。カシマスタジアムに舞ったタオルマフラー、そして鳴り響いた「奇跡を起こせ」が、選手たちを鼓舞した。決勝第2戦までの準備期間は3日間。今大会の規定により、鹿島がタイトルを獲得する条件は「2点以上を奪って勝つ」ことと定まった。これで、遂行する任務が明確になった。最高の景色へ足を踏み入れる己の姿をイメージしながら、選手たちは燃えたぎる闘志を胸にトレーニングを積んだ。試合2日前には、石井監督の就任後初となる非公開練習も敢行。集中力を高め、来るべき決戦へ準備を進めた。指揮官は「どの選手も、この試合に懸けている思いがある。全ての力を集結して勝利へ向かっていきたい」と静かに語る。そして遠藤は「綺麗なゴールじゃなくても良い。チームとして2点取れれば良い」と力を込めた。

指揮官は第1戦から先発メンバーを1名変更。2列目に柴崎を指名し、逆転優勝への望みを託す。前線は金崎と土居、中盤は柴崎とともに遠藤が並び、ボランチでは永木と小笠原がペアを組む。最終ラインは右から、西とファン ソッコ、昌子、山本。最後尾には曽ケ端が立ちはだかる。ベンチには、GK櫛引と植田、伊東、ファブリシオ、中村、赤崎、復帰となった鈴木が控える。

埼玉スタジアムは穏やかな青空に包まれたが、早くから駆け付けたサポーターの熱気が充満していた。開場前から高まるボルテージ。タイトルマッチを前にした高揚感と緊張感が、敵地を覆っていく。アントラーズレッドに割り当てられたビジタースタンドはわずかだった。しかし、例え人数では及ばなくても、背番号12が叫ぶ愛情と情熱はしっかりと選手へと届く。昌子は試合前日に話していた。「来られない人もたくさんいると思う。でも、映像越しでも念は送れる。僕たちを信じてほしい。僕たちも信じていますから」。どこにいても気持ちはひとつ。アントラーズファミリー全員で臨む、魂の90分間だ。

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19時35分、キックオフ。立ち上がりから激しい展開となった。鹿島は開始早々、金崎が右サイドから強引に持ち込んで左足シュート。相手DFにブロックされたが、ゴールへの意欲をいきなり形にしてみせた。ただ、以降は浦和が積極的に攻勢に出てきたことで、鹿島は押し込まれる時間が続く。

そして7分、先制ゴールは浦和のものだった。鹿島の左サイドを縦へ突破され、クロスを上げられる。ファーサイドで待っていた興梠に右足ボレーを決められた。

敵地で負ったビハインド。しかし「2点以上を奪って勝つ」というミッションは、失点前後で変わることはない。選手たちは口々に「あの失点で、攻めなければいけないということがより明確になった」と振り返る。鹿島は10分にもクロスバー直撃のシュートを打たれたものの、事なきを得た。なかなか前線で起点を作れず、シュートまで持ち込めない時間が続いたものの、少しずつ中盤でセカンドボールを拾えるようになっていった。自陣に引いてブロックを形成し、カウンターを狙う浦和に対して、集中力を高めて応戦していった。

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26分には守備の要がビッグプレーを見せる。浦和の左サイドからスルーパスを通され、ペナルティーエリア左側からシュートを打たれてしまったが、寸前のところで昌子が身体を投げ出してブロック。ボールは枠の左へと逸れていった。試合前日に“流れを変えるプレー”の重要性を強調し、「全員が、チームのために身体を張ってできればいい」と話していた背番号3が、鹿島を救った。

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30分以降は両サイド深くまで攻め込む機会も増え、少しずつゴールへと迫っていった鹿島。西のクロスに反応した金崎はボールに届かなかったが、迫力に満ちた攻撃で突破口を見出そうと腐心していた。

そして、40分。「2点以上を奪って勝つ」、その第一のミッションが果たされる。最終ラインからのロングパスを競り合った遠藤が、身体を張ってボールを背後へ流す。スペースへ抜け出した背番号25は、利き足と逆の右足でクロス。ファーサイドへ飛んだボールに反応したのは金崎だった。魂を込めたダイビングヘッドは、GK西川の手を弾いてゴールネットを揺らした。1-1。ワンチャンスを生かしてみせた鹿島が、同点に追い付いてハーフタイムを迎えた。

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1-1で迎えた後半、鹿島はボール支配率を高めて主導権を握った。51分、柴崎が蹴った左CKに飛び込んだ金崎のヘディングシュートは惜しくも枠を越えてしまう。しかし下を向くことなく、鹿島はひたむきにゴールを目指した。石井監督は58分、遠藤に代えて鈴木を投入。2列目に貪欲な若武者を送り込み、攻撃の圧力を高めていく。

試合は残り20分を切った。石井監督は73分、小笠原に代えて伊東を投入。西をボランチにスライドさせる、思い切った交代策でチームを活性化させた。悔しさをあらわにしてピッチを後にしたキャプテンの思いとともに、優勝への絶対条件・2点目を目指す道のりへと向かった。

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そして78分、鈴木が最終ラインの背後へ抜け出し、スピードに乗ってペナルティーエリアへ。シュートを打とうとした瞬間、背後からのタックルで倒される。判定は、PK。キッカーは金崎だ。アントラーズファミリー全員の祈りを託されたエースが、思いを込めた一撃をゴールへと届けた。歓喜のビジタースタンド。これで、優勝へ課せられた条件は満たした。

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4分と表示されたアディショナルタイムを含め、残りは15分弱。パワープレーを敢行する浦和に対し、鹿島は曽ケ端とソッコ、昌子を中心とした守備陣が気迫に満ちたプレーでゴールを死守する。88分に投入された赤崎もしっかりと役割を遂行した。痺れるような、永遠のように長く感じられる時間を走り抜いた選手たちは、ついにその時を迎えた。

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歓喜を告げるホイッスルが鳴り響いた。2-1。2試合合計、2-2。アウェイゴール、2-1。鹿島が敵地でミッションを完遂し、逆転でリーグ制覇を成し遂げた。アントラーズファミリー全員でたどり着いた、7年ぶりの頂点だ。目の前には最高の景色が広がる。歓喜の歌が鳴りやむことはない。18個目の星が、鹿島の歴史に刻まれた。

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さあ、次は世界が待っている。FIFAクラブワールドカップ2016出場を掴み取った鹿島は8日、オセアニア王者のオークランド・シティと対戦。世界に鹿島の名を轟かせるために。新たな戦いが始まる。

【この試合のトピックス】
・7年ぶり8回目となるJ1制覇を達成。最多記録を更新した。
・国内三大タイトル通算18冠目を獲得した。
・2ゴールを挙げた金崎がMVPに選出された。金崎はチャンピオンシップ3試合で3ゴールを挙げた。
・今季の浦和との公式戦は2勝2敗となった。
・埼玉スタジアムでの浦和戦は2連勝。昨季のヤマザキナビスコカップに続き、この地でタイトル獲得を果たした。

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