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旅行

ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―

[No.20/世界遺産登録:2016年7月/文化遺産]

17点が大陸をまたいで世界遺産に。日本からは国立西洋美術館が登録

ニュースで知った方も多いと思いますが、2016年7月17日に東京・上野の国立西洋美術館が世界遺産に登録されました。開館から半世紀以上が過ぎ、美術ファンにはおなじみの建物がなぜ世界遺産になったか、ご存じでしょうか?その理由をご紹介します。

「近代建築の父」とも「近代建築の三大巨匠の一人」とも言われる建築家、ル・コルビュジエ(1887年 - 1965年)。スイスで生まれ、20世紀初頭から建築家として主にフランスで活躍し、20世紀以降の建築に非常に大きな影響を与えました。それまでの建築物は石積み・レンガ積みの壁を積み上げて、壁で建物を支えるものでしたが、ル・コルビュジエは鉄筋コンクリート、ガラスなど新しい素材を駆使し、柱で建物を支える技法を確立しました。
1914年にはスラブ(床)、柱、階段のみが建築の主要要素とするドミノシステムを考案し、1926年には 1階を柱で支えて吹き抜けにする「ピロティ」、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面から成る「近代建築の五原則」を提唱。幾何学的で合理的な設計によるモダニズム建築の作品を次々と制作しました。著作の中で語られた「住宅は住むための機械である」という言葉からも、彼の建築への考え方が読み取れます。

登録された17点はル・コルビュジエの代表作

ル・コルビュジエの建築物は世界中に点在し、現存するもので70点ほどあります。今回、「ル・コルビュジエの建築作品」として世界遺産に登録されたのは、彼の作品の中でも特に後世の建築物に大きな影響を与えたとされる17点で、フランス、スイス、ベルギー、ドイツ、アルゼンチン、インド、日本の7カ国にあるものです。世界遺産への申請は当初からフランスが主導し、今回3度目の正直で、登録がようやく認められました。
17点の内訳は、先ほどの「近代建築の五原則」が最も的確に表現されていると言われる、ル・コルビュジエの代表作「サヴォア邸」(フランス)や、3階分を1つの単位としてL字型と逆L字型を組み合わせ、その間に廊下を挟む構造の18階建ての集合住宅「ユニテ・ダビタシオン」(フランス)、蟹の甲羅をイメージして作られた屋根が特徴的な後期の最高傑作「ロンシャンの礼拝堂」(フランス)などで、単独の建物のみならず都市全体を計画したインドのチャンディーガルも登録されました。

日本で唯一のル・コルビュジエ作品、国立西洋美術館

日本から登録された国立西洋美術館本館は東京都台東区、上野公園のなかにある美術館。来日したル・コルビュジエが本館の基本設計を行い、彼の弟子である坂倉準三、前川國男、吉阪隆正の3人が実施設計して建てられ、1959年に開館しました(結局、日本に来たのはこの1回きりだったとか)。
「無限に成長する美術館」というコンセプトのもと、建物の中心にある19世紀ホールを取り囲むように展示室が作られており、美術作品が増えても、巻貝のように外側に増築して展示スペースを確保する構想でした。但し、実際には本館の拡張は行われず、新館の建設などで対応されました。


建設にあたっては、ル・コルビュジエが人体の寸法と黄金比から作ったモデュロールという寸法が用いられました。これは人が立って片手を挙げた時の指先までの高さ(ヨーロッパ人の理想的な身長183cm×黄金比1.618=296cm)を基本単位として建物を設計するもので、屋根が低い部分の高さは296cm、屋根が高い部分はその倍、という具合に用いられました。
1階を柱で支えて吹き抜けにする「ピロティ」やスロープ、窓から差し込む自然光を利用した照明といったル・コルビュジエ建築の特徴的な技法も用いられており、「近代建築の父」がこの建物にこめた趣向を楽しむことができます。

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