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大切なデータを守る「バックアップ」--万一のトラブルに備えて

パソコンやスマートフォンには、故障や紛失などのトラブルがつきものです。トラブルが起きた場合、ハードウェアやソフトウェアは代替が容易ですが、中に入っていた大切なデータはそうはいきません。壊れたデータの復旧は難しく、紛失したものは二度と戻って来ないかも知れません。

もしもの時に大切なデータを失わないようにするためには、予めデータのコピーを用意しておく必要があります。これを「バックアップ」といい、パソコンやスマートフォンには、バックアップを行うためのソフトウェアが用意されています。失ってしまってから後悔しないように、大切なデータは日ごろからバックアップしておくように心がけましょう。

■バックアップの保存先

データがなくなってしまうのは、ハードウェアの故障や紛失の時ばかりではありません。火災や天災などの災害に見舞われることもあれば、ソフトウェアの不具合でデータを失ってしまうこともあります。うっかり削除してしまうといった人為的なミスも考えられますし、データを人質にとってお金を要求する悪質なウイルスの存在も無視できません。

バックアップを行うためには、データをコピーしておくメディアが必要です。どこにバックアップするかによって、費用や所要時間が異なり、どんなトラブルからデータを守ることができるのかも変わってきます。具体的には、次のようなものがバックアップ先に利用できます。

・内臓ハードディスクドライブ(HDD)
パソコン本体のHDDに自身のデータを保存する方法は、本体に発生したトラブルが同時にバックアップにも影響してしまうので一般的ではありません。が、影響し合わない関係であれば、バックアップ先の対象になり得ます。例えば、スマートフォンなどの携帯端末のデータを、デスクトップパソコンにバックアップした場合には、両方が同時に故障したり紛失したりすることはまずないので、有効なバックアップになります。

・外付けハードディスクドライブ(HDD)
外付けHDDは、バックアップメディアの最有力候補です。パソコンを丸ごとバックアップするような場合には、
数百GB(ギガバイト)の容量が必要になりますが、外付けHDDであれば、数千円から1万数千円でTB(テラバイト=1000GB)クラスの製品が手に入ります。
外付けHDDは、USBポートに接続するタイプが一般的です。USB接続のHDDは、パソコンで利用するのは簡単ですが、スマートフォンからの直接利用は原則できません。パソコン経由で利用するか、LANに接続する製品や無線LAN対応の製品をLAN経由で利用することを検討しましょう。

  • 図1 外付けHDD:据え置き型(左)とポータブル型(右)
  • 図1 外付けHDD:据え置き型(左)とポータブル型(右)
    ※画像はイメージです

・USBメモリー/メモリーカード
入手しやすく扱いやすいメディアで、パソコンはもちろん多くのスマートフォンでも直接利用することができます。最近は512GBや1TBの大容量製品も発売されていますが、コストパフォーマンスに優れているのは、数GB~数十GBの製品です。このクラスは、パソコンを丸ごとバックアップするような用途には向いていませんが、フォルダやファイル単位のバックアップに活用できます。

  • 図2 USBメモリー(上)とメモリカード(下左:SD、下右:microSD)
  • 図2 USBメモリー(上)とメモリカード(下左:SD、下右:microSD)
    ※画像はイメージです

・書き込み可能なDVD/CDディスク
多くのパソコンが標準で備えており、メディア1枚当たりの容量は、CDが700MB、DVDが4.7GB(2層は8.5GB)、Blu-rayが25GB(2層は50GB)です。1枚当たりの単価が数十円からと安価で、バックアップメディアとして利用する場合には、複数枚に分けて保存できるため、さらなる大容量のバックアップにも対応できます。ただし、メディアを入れ替えながらの長時間に渡る作業は大変なので、パソコンの丸ごとバックアップには不向きです。

・オンラインストレージ
パソコンやスマートフォンから利用できる、インターネット上のストレージサービスです。各社が提供している専用ソフトを使用すると、ファイルマネージャでフォルダを扱う感覚で利用できたり、自動的にバックアップしたりすることも可能です。
オンラインストレージは、スピードに難があり、不正アクセスを受けるおそれがありますが、遠隔地に保管しておけるため火災で全滅というケースも回避できるのが大きなメリットです。近年は、低価格・大容量化も進んでおり、数GB程度なら無料で、1TBクラスでも年間数千円から数万円で利用可能です。

  Microsoft OneDrive Apple iCloud Drive Google Drive Dropbox Yahoo!ボックス Amazon Clouddrive
Webブラウザ
Windowsアプリ
Macアプリ ○*1
iOSアプリ
Androidアプリ ×
無料容量 15GB 5GB 15GB 2GB 5GB 5GB
20GB \100/月 \800/年
50GB \2,000/年
100GB \190/月 $1.99/月 \700/月 \4,000/年
200GB \380/月 \400/月 \8,000/年
500GB \1,200/月 \20,000/年
1TB \2,400/月 $9.99/月 \1,200/月 \40,000/年
  • 表1 主なオンラインストレージ
  • *1:「OS X Yosemite」で対応予定

■バックアップの種類

バックアップには、いろいろな種類がありますが、主なものとして次の2種類を覚えておきましょう。ひとつは、システム全体を丸ごとバックアップする方法、もうひとつは、特定のファイルやフォルダをバックアップする方法です。

・システム全体のバックアップ
システム全体のバックアップは、フルバックアップ、イメージバックアップ、システムバックアップなどと呼ぶこともあります。パソコン全体の完全なコピーを作成するため、時間がかかり大容量のメディアが必要になりますが、パソコンの初期化時には、アプリやデータ、諸設定を含めたパソコン全体を、短時間で復旧することができます。もしもの時に備えて、正常に動作している時のシステムイメージを1セット用意しておいたり、OSのアップグレードなどの大きな変更を行う際に用意したりするようにしましょう。なお、購入したコンテンツや一部のアプリは、バックアップ/リストアでの復旧に対応していないものがあります。そのような場合は、各アプリが指定する手順に従ってください。

・ファイルのバックアップ
大切なデータの保護には、保存先のフォルダやファイルをこまめにバックアップしておくことをお勧めします。初回のバックアップは、全てのファイルをコピーするため時間がかかりますが、その後は前回のバックアップの後に作成・更新されたファイルだけをコピーして行くので短時間で終了します。バックアップソフトの自動実行機能を利用すれば、ほとんど意識することなく過去の更新履歴を残しておくことができ、いつでも必要なファイルの過去バージョンを復元できるようになります。

★コラム:「バックアップ」と「同期」

バックアップソフトとよく似たものに、指定したドライブやフォルダを同期するソフトがあります。通常のバックアップの場合には、新規に作成されたファイルや更新されたファイルを別の場所にコピーしていくので、削除したファイルや更新したファイルの過去のバージョンも保存されています。ファイルの履歴が残っているので、最新の状態に復元できるだけでなく、過去のある時点の状態に戻すこともできます。
一方の同期は、2つ(あるいはそれ以上)の場所にあるファイルが、全て同じ内容になるように調整します。新規に作成されたファイルや更新されたファイルが、別の場所にも反映されるという点はバックアップと同じですが、過去のバージョンは保持されず、削除したファイルは他の場所からも削除されます。
デスクトップパソコンに保管している書類と、ノートパソコンで持ち歩く書類を常に同じ内容に保ちたいというような場合には、この同期が向いており、オンラインストレージの専用ソフトもこの機能をサポートしていたりします。

■Windowsのバックアップ

Windowsには、システム標準のバックアップソフトが付属しており、特定のファイルやフォルダのバックアップと、システム全体のバックアップを行うことができます。

・Windiows 8/8.1
コントロールパネルの「ファイル履歴」を開き、保存先やバックアップ対象などを指定して機能をオンにすると、指定したスケジュールに従ったバックアップを行うことができます。コントロールパネルがカテゴリー表示の場合には、「システムとセキュリティ」の「ファイル履歴でファイルのバックアップコピーを保存」で「ファイル履歴」が開きます。
この「ファイル履歴」では、ディフォルト設定で1時間ごとにユーザーのデータファイルのみをバックアップします。パソコン全体を丸ごとバックアップしたい場合には、左下にある「システムイメージバックアップ」を実行します。

  • 図3 Windiows 8/8.1の「ファイル履歴」
  • 図3 Windiows 8/8.1の「ファイル履歴」

・Windows 7
コントロールパネルの「バックアップと復元」を開き、バックアップの設定で保存先やバックアップ対象などを指定してバックアップを行います。バックアップの設定中に出て来る「スケジュールに従ってバックアップを実行する」を有効にしておくと、定期的なバックアップを自動実行するようになります。コントロールパネルがカテゴリー表示の場合には、「システムとセキュリティ」の「バックアップの作成」を選択すると「バックアップと復元」が開きます。パソコン全体を丸ごとバックアップしたい場合には、左の一覧から「システムイメージの作成」を選択するほか、この定期的なバックアップにシステムイメージを含めることもできます。

  • 図4 Windows 7の「バックアップと復元」
  • 図4 Windows 7の「バックアップと復元」

・Windows Vista
コントロールパネルの「バックアップと復元センター」を開き、「ファイルのバックアップ」で保存先やバックアップ対象などを指定してバックアップを行います。
「コントロールパネルホーム」からは、「システムとメンテナンス」の「バックアップの作成」を選択すると「バックアップと復元センター」が開きます。
Home エディションのWindwos Vistaには、定期的なバックアップを自動実行する機能や、パソコン全体を丸ごとバックアップする機能はありません。他のエディションの場合は、「ファイルのバックアップ」の設定中に、実行スケジュールを指定することができ、「コンピュータのバックアップ」でパソコン全体を丸ごとバックアップすることが可能です。

  • 図5 Windows Vistaの「バックアップと復元センター」
  • 図5 Windows Vistaの「バックアップと復元センター」

■iOS端末のバックアップ

アップルのiPhoneやiPad、iPodには、同社のオンラインストレージ「iCloud」に、データや諸設定などをバックアップする機能が標準で備わっています。また、これらiOS端末と連携するパソコン用のソフト「iTunes」を使用すると、端末内の音楽や映画などのコンテンツをパソコン上と同期したり、同期されるコンテンツ以外のバックアップをパソコン側に保存したりすることができます。

・iCloudを使ったバックアップ
iCloudにサインアップすると、データや一部の設定が自動的にiCloudにバックアップされるようになります。バックアップは、端末が電源に接続され、ロックされ、Wi-Fi経由でiCloudにアクセスできる場合に、毎日自動的に行われるほか、手動で今すぐ実行することもできます。バックアップ対象は、端末の[設定]→[iClude]→[ストレージとバックアップ]→[ストレージを管理]で端末を選択し(iOS8は[設定]→[iClude]→[容量]→[ストレージを管理])、バックアップオプションで指定します。無料で利用できるiCloudの容量は5GBまでですが、カレンダーや連絡先、撮った写真のフォトストリームなどの保存分は、この容量には含まれません。

  • 図6 iOS端末の「iCloudバックアップ」と「バックアップオプション」
  • 図6 iOS端末の「iCloudバックアップ」と「バックアップオプション」

・iTunesを使ったバックアップ
iTunesのバックアップ機能を利用すると、デバイスと同期されるコンテンツ以外のほぼ全てが、パソコン上にバックアップされます。iTunesで接続した端末を選択し、[概要]の[バックアップ]で[このコンピュータ]を選択します。[今すぐバックアップ]を実行すると、バックアップが始まります。
iTunesを使ったバックアップ時には、「バックアップを暗号化」オプションを有効にしてパスワードを設定しておきましょう。こうしておくと、バックアップがパスワード保護されるのに加え、メールやアプリのアカウント情報などを記録したキーチェーンが、バックアップに含まれるようになります。

  • 図7 iTunesを使ったバックアップ
  • 図7 iTunesを使ったバックアップ

■Android端末のバックアップ

Android端末には、Googleが提供する「Android Backup Service」という標準能があります。この機能は、iOSのiCloudを使ったバックアップに似たもので、Googleアカウントに関連付けられているデータや諸設定を、オンラインストレージにバックアップします。アプリがこのサービスに対応していれば、アプリのデータや諸設定のバックアップ/リストア―が可能ですが、未対応のアプリに関しては別の方法を使用しなければなりません。iOSのiTunesに相当する、簡単に操作できる標準的なバックアップ手段は提供されていないので、サードパーティ製のバックアップアプリや各アプリのバックアップ機能を使用します。

・Android Backup Serviceを使ったバックアップ
端末の[設定]メニューを開き、[ユーザー設定]の[バックアップとリセット]をタップします。 [データのバックアップ]がチェックされていると、設定したアカウントにバックアップが保管されます。Google+と連携するフォトアプリを使用すると、撮った写真の自動保存も可能です。

  • 図8 Android端末の「バックアップとリセット」
  • 図8 Android端末の「バックアップとリセット」

・キャリアの標準アップリを使ったバックアップ
端末内の電話帳や通話履歴、携帯メールなどのバックアップ/リストア―を行うために、携帯電話各社から次のようなAndroid用の公式アプリが提供されています。

  • ・ドコモバックアップ/SDカードバックアップ(NTTドコモ)
  • ・auバックアップ(au)
  • ・あんしんバックアップ(ソフトバンクモバイル)

これらアプリでのバックアップ先は、各社のオンラインストレージまたは、SDカードに限定されます。バックアップの対象は、メール、電話帳、通話履歴、音楽、画像、動画、ブックマークなどの標準的なもののみで、「auバックアップ」以外は、アプリのバックアップには対応していません。

  • 図9 キャリアの公式バックアップアプリ
  • 図9 キャリアの公式バックアップアプリ

・アプリの機能を使ったバックアップ
アプリの中には、機種変更時にアプリのデータや設定を引き継ぐことができるようになっているものがあります。例えばAndroid版のLINEの場合には、単純なアプリのバックアップ/リストア―では、友だちやグループなどの設定も、過去のトーク内容も一切引き継ぐことができません(iOS版はiTunes経由のバックアップ/リストア―で移行できます)。
友だちやグループなどの設定内容の引き継ぎは、事前に「メールアドレス登録」や「Facebook連携」を実施したうえで、移行先の端末でアカウント認証を行う必要があります。トークの内容は、LINEアプリ上でトーク履歴のバックアップを作成し、移行先でインポートする必要があります。

  • 図10 LINEのトーク履歴のバックアップ機能
  • 図10 LINEのトーク履歴のバックアップ機能

・サードパーティ製アプリを使ったバックアップ
Android版のバックアップアプリには、キャリアの公式のもののほかにも、有料/無料のさまざまな製品がリリースされています。機能はアプリによって異なりますが、製品によっては、バックアップ先にオンラインストレージやLAN内のネットワークドライブを選択できるものや、USB/Wi-Fiで接続したパソコン上にバックアップできるものなどもあります。図11は「Helium」というアプリで、次の開発者向けバックアップ機能を画面操作で行えるようにしたものです。

  • 図11 サードパーティ製アプリの例
  • 図11 サードパーティ製アプリの例

・開発者向けツールを使ったバックアップ
4.0以降のAndroid OSには、フルバックアップもとれる標準のバックアップ/リストア―機能が用意されています。ただしこの機能は、開発者向けに用意されたものであるため、一般の利用には向いていません。Androiod SDKや使用している端末用のドライバーソフトのインストール、端末の開発者向けオプションの設定などの高いハードルを超える自信のある方は、試してみる価値があるかも知れません。パソコンにAndroid端末を接続し、パソコン側からbackupコマンドを実行すると、端末が「フルバックアップ」画面になります。[データをバックアップ]をタップすると、バックアップが始まります(図12)。

  • 図12 開発者向けのバックアップ機能
  • 図12 開発者向けのバックアップ機能

(執筆:現代フォーラム/鈴木)



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