So-net:
大好きな音楽の中で、長くバンド人生を歩まれてる訳ですけど、やはり挫折感とは常に背中合わせだったりしますか?
吉井和哉:
そうですね。俺なんて挫折だらけだと思いますよ。挫折から立ち上がった遅咲きのソロミュージシャンって感じだと思いますよ。
逹瑯:
そっかぁ、吉井さんでも挫折感ってあったりするんだぁ……。
吉井和哉:
あるよ。いまだにそんなのしょっちゅう。
逹瑯:
そっかぁ。そういえば、吉井さんってどうしてYOSHII LOVINSONから吉井和哉名義に変えたんですか?(2003年にYOSHII LOVINSONでソロデビューしたが、2006年に吉井和哉名義に変更)
吉井和哉:
それはね、地元の友達が、「YOSHII LOVINSONっていうヤツがいるけど知ってる?」って俺に言ってきたのがきっかけで(笑)。
逹瑯:
あっははははは。マジっすか!?
吉井和哉:
うん、マジマジ(笑)。「それ、俺なんだけど……」って言ったら「マジで!?」ってビックリしてたんで、それでやめようって(笑)。ムックはずっと12年間メンバー同士仲良しなの?
逹瑯:
そうですね、地元からの同級生なんで。
吉井和哉:
おぉ、そうなんだ。そういうバンドってホント仲良しだよね。
逹瑯:
休みの日も結構一緒に遊んでますね。
吉井和哉:
そっかそっかTHE YELLOW MONKEYも結構仲良かったよ。ほら、ドラムとギター、兄弟だったからね。
So-net:
そうですね。前のバンド見たことあります、何度か。
吉井和哉:
キラー・メイ?
So-net:
はい。
吉井和哉:
そうなんだ。っていうか、ずっと(ライターさんのことを)誰かに似てると思ってたんだけど、今分かった! EMMAとANNIEのお母さんに似てる! 菊地のりこに似てるわ。のりこにそっくり! EMMAとANNIEに写メ送りたいわ(笑)。
逹瑯:
あっははははは。おっかしぃ(笑)。
So-net:
光栄です(笑)。ところで、吉井さんが憧れていた邦楽の先輩バンドっていらっしゃったりするんですか?
吉井和哉:
いるいる。俺はね、44MAGNUMのポールさん。
逹瑯:
おっ! 事務所の大先輩です!
吉井和哉:
あ、そっかそっか、そうだよね。
逹瑯:
事務所のイベントで9年前くらいに初めて会ったんですけど、すげぇオーラでめちゃめちゃ近寄りがたかったです。ジミーさんはずっと敬語で話して下さるんで逆にそのオーラが怖くて(笑)。やっぱすげぇなって思いましたね。俺等とは器が違うなと。
吉井和哉:
そうだね。
So-net:
昔からギタリストとかベーシストではなく、ボーカリストへの憧れが強かったんですか?
吉井和哉:
ううん、そういう訳じゃないんだけど、ポールさんは日本のボーカリストとしては本当に相当レベルの高い人だと思うんだよね。声といい、オーラーといい、すごく個性的でしょ。
So-net:
そうですね、あの歌い方とかも独特ですもんね、ポールさんは。日本人離れしていたというか。
吉井和哉:
そうそう。外国人だよね、ポールさんは。本当に素晴しかった。実際にお会いしたことないんだけど、地元に居た頃、静岡のサーカスタウンっていうライヴハウスで初めて見たんだけど、そのときの印象のまま記憶にはっきりと残ってるね。俺が18くらいの頃かな。もぉね、アーグ・ポリスとはレベルが違うと思ったね。すげぇって。
So-net:
ラウドネス、44MAGNUM、アースシェイカーって言ったら、日本のメタルの先陣者ですからね。
吉井和哉:
そうだね。ジャパメタね。そうそう。
So-net:
あの頃のバンドシーンは硬派でカッコ良かったですよね。ラウドネス、44MAGNUM、アースシェイカーも、吉井さんのいらしたアーグ・ポリスもHEESEYさんのいらしたムルバスも、キラー・メイもすごく個性的だったし音もカッコ良かったですもん。
吉井和哉:
まぁひとつのシーンだったよね。あの頃はね。デッドエンドとかね。今人気のあるバンドも、あの頃の影響を色濃く受けてるバンドいるもんね。尊敬しまくってるんだろうなって思うよね。
逹瑯:
昔のDVDとか借りて見たんですけど、MORRIE(デッドエンドのボーカリスト)さんとか、あの当時からエクステとか付けてて、すげぇビックリしたんですよ。今や普通ですけど、早いなって。センセーショナルだったんじゃないかなって。
吉井和哉:
うん。そうだね。MORRIEさんとかすごくセンス良かったもん。すごくカッコ良かったよ、当時から。
逹瑯:
いや、ホント、いろんなことがカッコイイです、その当時のヴィジュアルも、すげぇ男っぽくてカッコイイなって。髪長いけど、なんかすげぇ男っぽくて、今ってちょっとなよなよしてる感じとかあるんですけど、とにかく歌詞とかも男臭くて。
吉井和哉:
歌詞に“ナイフ”ってよく出て来てたよね、当時は(笑)。
So-net:
あははは。はいはい(笑)。
逹瑯:
分かります! ナイフ! すげぇ分かります! 今俺等が使ってもカッコ良くなんないのはどうしてかなっていう(笑)。
吉井和哉:
ナイフかぁ~。俺もよく使ってたなぁ~。“なぁなぁのナイフ”ね(笑)。いやぁ、あの頃のステージングも相当カッコ良かったよ。
逹瑯:
俺、吉井さんの“MCで特効”っていうのがいつかやってみたいんですよね。
吉井和哉:
あはははは。なんで知ってるの? ライヴ見たことないのに(笑)。
逹瑯:
ウチの事務所のチーフマネージャーの奥さんが吉井さんの大ファンで、DVD借りて見たんです(笑)。どうやらオフィシャルじゃないファンクラブの結構偉い人らしいですよ(笑)。
吉井和哉:
あははははは。誰だよそれ(笑)。でもね、そのMCで20万くらいの特攻ってのはホント、馬鹿げてるよね(笑)。
So-net:
ロックですね。
吉井和哉:
あははは。ロックじゃないよ、全然(笑)。
So-net:
最近吉井さんが注目してる日本の若いバンドっているんですか?
吉井和哉:
ムック。
逹瑯:
(めっちゃ嬉しそう!)いやぁ~っ(喜)!
吉井和哉:
ホントホント。初めて聴かせてもらったけど、ホントカッコイイと思ったよ。やっぱロックって自分のルーツでもあるからすごくこだわっちゃうんだよね。カッコ良くないと聴かない。だからロックはあんまり聴かないんだよね。今、学園祭に出てるみたいなメガネかけたバンドとかいっぱいいるでしょ。ああいうロックバンドはあんまり聴かない。なんかね、ロックバンドはカッコイイんじゃないと聴かないんだよね。ギターを歪ませてるのにピザ屋のお兄ちゃんみたいな感じはどうもね(笑)。別に化粧とか髪伸ばせって訳でもないんだけど、その格好でもいいんだけど、オマエ、それでポスターにはなんねぇだろ? っていうのがちょっとね、あんまり好きではなくてね。大事だと思うんだよね、ポスターになれるかどうかって。短髪でもいいんだけど、その顔つきとか出で立ちとかなんとかなんねぇのかよって(笑)。ジョー・ストラマーは短髪でもポスターになってんだろっ! ってことですよ(笑)。
So-net:
すっごい分かります!!!
逹瑯:
だって、やっぱさっきのTHE YELLOW MONKEYの身長制限の話じゃないですけど、カッコ良かったですもんね。古い感じがしないですもん、今見ても。逆にあのバンドのカッコ良さを抜けるバンドが今だに出て来てないのがすげぇなって思うんですよ。
So-net:
まさに日本のグラムロックって感じでしたもんね、THE YELLOW MONKEYは。色っぽくて、ちょっと気だるくて。今の子ってあんまりグラムロックに興味ないんですかね? 今グラムロックやってるバンドっていないから、今やったらすごくウケると思うんですけど。
吉井和哉:
今はもうグラムをカッコイイと思う若者がいないからきっと出てこないと思うよ。
逹瑯:
DAIGOとかは? まだソロになる前とかピッカピカのド派手な衣裳着たバンドやってたんだよ。あれってグラムじゃないの?
So-net:
ソロになってからも氷室京介さんの楽曲でグラムっぽくみせる感じでやってたけどね。
吉井和哉:
それにはHEESEYとANNIEが参加してたけどね。ん~、ちょっと違うんだなぁ。
So-net:
ん~、ちょっと違うんだなぁ~。
吉井和哉:
ちょっと違うんだよねぇ。
逹瑯:
違うんだぁ。
So-net:
ん~。たしかに、グラムロックって音楽ジャンルではないけど、見た目のきらびやかさだけじゃなかったりするんだよね。言葉で説明するの難しいけど……。T.REXとかデヴィッド・ボウイとか。
逹瑯:
日本の若いバンドには今いない感じ?
吉井和哉:
うん、そうだね、いないね。きっともう出てこないんじゃないかな。きっともう出て来ないよ。
So-net:
でも、今の若いバンドの子って、T.REXとかデヴィッド・ボウイは通ってないけど、THE YELLOW MONKEYにはめちゃめちゃ影響受けまくってます! っていうバンドは多いんですけどね。でもやっぱり越えるバンドがいない。ま、カッコ良過ぎましたからね、THE YELLOW MONKEYは。1985、6年にマルコシアス・バンプってバンドがいたんだけど、今若い子がそういうバンドやったら結構面白いのになぁって思う。
吉井和哉:
ムックはバンド的にはどういうとこから影響受けてるバンドなの?
逹瑯:
ウチ等、フォークなんですよ(笑)。俺の最初は長渕剛さんだし、メインで曲書いてるギターでリーダーのミヤは井上陽水さん大好きですからね(笑)。
吉井和哉:
あ、そうなんだ! だから俺の暗い曲好きなんじゃない!? そっかそっか繋がった繋がった(笑)。
逹瑯:
たぶんそうですね。吉井さんの一番最初に影響受けた音楽ってなんだったんですか?
吉井和哉:
俺はね、チープ・トリック。その後はメタルですよ。アイアン・メイデン、超処女ですよ(笑)。(※アイアン・メイデンの名前の由来が中世ヨーロッパで刑罰や拷問に使われていた拷問具・鉄の処女であることから)最初はやっぱりギターだったこともあって、そっちにハマるよね(笑)。当時はみんなマイケル・シェンカーやったからね。奥田民生とかスピッツとか一緒に今度アースシェイカーのトリビュートアルバム出したいね! って言ってんだよね(笑)、その世代で(笑)。
So-net:
聴きたいです(笑)。では、最後に吉井さんから逹瑯くんに人生の先輩として一言お願いします!
吉井和哉:
そんな人生の先輩だなんて(笑)。何も言えないけど、そうだなぁ~、(ディスコグラフィーを見て)しっかしさぁ、ムックってめちゃめちゃ音源いっぱい出してるね!
逹瑯:
そうなんです。
吉井和哉:
でも、本当に頑張ってね。12年。すごいと思うよ。本当に頑張って。
逹瑯:
俺、吉井さんホント憧れなんで、吉井さんの歳になったとき、吉井さんくらいカッコ良くなれてるように頑張ります! ライヴ絶対行かせて下さい!
吉井和哉:
ホントに来るのぉ(笑)?
逹瑯:
行きます! 行きます! 行きます! 行かせて下さい! 行っていいですか!
吉井和哉:
是非。
So-net:
逹瑯くんから吉井さんに言い残したことはない(笑)?
逹瑯:
まだ話したいですけど(笑)、でも、最後に一緒に写真撮ってもらえたら本望です!
吉井和哉:
あはははは。そんなの全然いいよ(笑)。じゃ後で一緒に撮ろうね。
逹瑯:
はい! ありがとうございました!
●Text/武市尚子 ●写真/森 リョータ
【お知らせ】異種格闘対談連載「RING」は、諸般の事情により今回を持ちまして終了させていただくこととなりました。今までのご愛読ありがとうございました!!