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会見/インタビュー

数々の記録を塗り替えた脅威の低予算ホラー
スピルバーグをも唸らせたアイデアの妙とは?

アメリカンドリームを実現したオーレン・ペリ監督(左)と製作総指揮のスティーヴン・シュナイダー


わずか1万5,000ドル(約135万円)の製作費ながら、なんとアメリカで1億ドル以上を売り上げてしまった脅威の低予算ホラー「パラノーマル・アクティビティ」。昨年9月、北米でわずか12館のレイトショー公開でスタートした本作は、観客の口コミによってスクリーン数を増やし、公開5週目にして全米1位を獲得、翌週には興収1億ドルを突破。10年前に同じく低予算で大ヒットを記録した「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(09)同様、社会現象を巻き起こした。

 メガホンをとったのは、イスラエル出身の新鋭オーレン・ペリ監督。もとの職業はゲームデザイナーで、映画制作は素人同然だった無名の監督がどのようにして偉業を成し遂げたのか。来日した監督(脚本・製作・編集も担当)、そして製作総指揮のスティーヴン・シュナイダーに話をうかがった。

 まずは率直な質問。なぜ映画を撮ろうと思ったのか。

パラノーマル・アクティビティ

ヒットを予感したのは、北米公開の初日。深夜興行にもかかわらず、人の列がワンブロック先の駐車場まで伸びている状況に、「『スター・ウォーズ』以来だ」と興奮する関係者の姿を見て、「もしかして…」と思ったという。

「以前から興味はあったけれど、それを追及するところまでは至らなかった。なぜなら、映画監督になることが容易ではないことを、十分承知していたから。しかし、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『オープン・ウォーター』などの成功例を見て、もし自分にいいアイデアが浮かんだら、そのときは映画を作ろうと思っていた。そしてあるとき、この映画のアイデアが浮かんだというわけさ」

 そのアイデアとは、郊外の一軒家で暮らすカップルが遭遇するとてつもない恐怖。自分たちの家に取り憑いた“何か”の存在を確かめようと、彼氏のミカが寝室にホームビデオを設置する。ところが、そこには想像を絶するものが撮影されていた…。

 全編ホームビデオで撮影された映像ながら、単調になることなく恐怖が増幅していくのは、主人公のケイティとミカが正気を失っていく姿が超リアルだから。むしろホームビデオの映像が、恐怖効果をあげているようにも見える。


「この作品が成功した理由のひとつは、カップルが本当に自分たちの自宅でビデオを撮っているよう感じられるから。チープだからこそ、このストーリーが活きた。だから、もしも資金が豊富にあったとしても、自分が作業しやすいようにアシスタントを雇うくらいで、それ以上は使わなかったと思うよ」

 撮影日数はわずか7日間。撮影したのは、サンディエゴ郊外にある監督の自宅。なお1万5,000ドルの制作費の中には入っていないが、撮影に際しかなり大掛かりなリノベーションを行ったという。

「映画として見たとき、いい画を作れるよう意識したよ。階段の支柱を素敵なデザインに換え、カーペットだったところはすべてフローリングに。壁も塗りなおして、いくつかの絵を飾った。寝室はマットレスしかなかったからベッドを買い、ドアも新しくした。もともと改修しようと思っていたから、いい機会になったんだけどね」

 ちなみに今もこの家に住んでいるそうで、公開時は見物客が押し寄せたものの、現在は静かに暮らしているとのこと。

 この種の作品は、あまり情報を入れない方がより新鮮に恐怖を体験できると思うが、監督曰く、主人公のミカに対する観客の反応が、真っ二つに分かれているところがとても興味深いという。

「ケイティがあんなに苦しんでいるのに嫌がることばかりしてミカって最低の奴!って思う人と、彼女を守ろうとして本当に優しい人、と思う人。見る人によって映り方がまるで違うようだよ」

 そして監督自身のキャラクターもミカに投影されている。

「うん、僕もミカのように証拠がないと動かないタイプ。悪霊の存在を信じていない人が、それを証明するためには何をするだろうか。おそらくビデオで撮影するだろう――と考えたことが、この作品を撮ろうと思った始まりだったから。まさにそれは、劇中でミカが取る行動。またミカとケイティの関係も、いわゆる映画的な恋愛ではなく、リアルな人間関係にしたいと思ったんだ」

 2007年のスクリームフェスト・ホラー映画祭で上映されて以来、スピルバーグ率いるドリームワークスがリメイク権を購入するなど、業界内の評価は抜群だった本作。しかし、無名の監督&俳優のノーブランド作品が全米1位に輝くなど、誰が予想しただろう。何か特別なからくりがあったのでは? とうがった見方をしたくもなる。

 自宅で山積みになっていた膨大な作品の中から、本作の秘めた可能性を見出した製作総指揮のスティーヴン・シュナイダーは、「この作品は1億ドルに値するものだと思っている」と前置きをしたうえで、こう話す。

「いくら作品に力があっても、認知されなければ興行成績をあげることはできないだろう。我々が北米で行ったマーケティングは革新的なものだった。といっても、映画同様、宣伝コストはとても低い。テレビスポットと紙の広告は最小限に抑え、インターネット中心。映画ファンたちにネット上で投票してもらい、上映する街を決めていった。つまりファンの力で上映館数を増やしていき、拡大公開に結び付けることができたんだ」

 劇場公開を前に、スピルバーグの提案によりエンディングを撮り直し、さらなる衝撃が加わった本作。巨匠をも唸らせたアイデアの妙をたっぷりと堪能してほしい。


2010.1.25 ペニンシュラホテル東京にて
(取材・文/庄司恭子)


パラノーマル・アクティビティ

『パラノーマル・アクティビティ』

監督・製作・脚本:オーレン・ペリ

出演:ケイティ・フェザーストーン、ミカ・スロート 他

2010年1月30日 全国ロードショー

『パラノーマル・アクティビティ』の上映スケジュール/予告編

オフィシャルサイト



      

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