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#13 物理学的、形而上学的音楽

 Hi! エリックです!なぜだか、僕は集団行動が苦手。大勢の人と旅をするとか、パレードに参加するとか。Christianでありながら教会にもいかない。友だちと出かけるなら、2、3人で十分。それ以上の団体行動は家族とバンドぐらいかな。
 そんなアメリカ人の僕が集団行動の国、日本に住むということは辛い体験かというと、そうでもない。外国人ということで、すでに皆とちょっと違うからわりと楽にいける。アメリカに対して、個人主義、それぞれ独立しているというイメージがあるかもしれないけど、グループ・パワーもけっこう強い。

 僕が学生のころに幅をきかせていたグループは "Dead Heads" だった。"Dead Heads" は Grateful Dead というバンドのファンの集まり。Dead Headsは、中心にGrateful Dead の全ツアーについていく、日本の「追っかけ」のような人たち、そしてその周りにいるいつも Grateful Dead の音楽を聴いていて、年に何回かライブを見に行くという人たちで構成されている。(バンドのリーダー、Jerry Garciaが亡くなってからはツアーをしなくなったけどね。)  Dead Headsが着ている服はたいていがヒッピーっぽいものだけど、なかには Dead Head サラリーマンもいる。大学生の頃、特別にGrateful Dead の音楽が嫌いというわけではなかったけど、Dead Heads の存在があまりにも強くて、それがうっとうしくて、ほとんど聴かなかった。

 今日、紹介するのは、この前アメリカにいた時、車のラジオで久しぶりに聴いた'Ripple' という曲。あのGrateful Dead の曲だ。Dead Headでない僕だけど、この曲だけは心の中に特別な存在感を残している。初めて聴いたのは高校3年生の初日、物理の授業だった。

 先生は古いカセット・プレイヤー を机の上に置くと、"OK, I'm going to play a song called 'Ripple' and I want you to tell me everything that has to do with physics." と言って、再生ボタンをおした。物理より何より、最初に思った事は "Wow, cool teacher!"。先生は"やさしいおじさん"という感じの人で、「物理は日常生活と関係しているんだよ」という大切なメッセージを伝えるために息子のテープを借りてきたみたい。

 さあ、どこが物理と関係しているの?と、楽しく授業がはじまった。まずは曲名の 'Ripple' と曲にでてくる歌詞、'Ripple in still water' - 静かな水面のちいさな波。"That's right! Waves are physics!" と先生がいう。スピーカーからでる音波- "That's right! Sound is physics!"。 Cassette player と机の間の振動-"That's right! Vibrations are physics!"。そんなふうに先生と僕達、生徒が一緒に考えていった。


ライブのあとにはデッドで!

 そんな出会い方をした'Ripple' だけど、今、聴いてみると、Physics(物理)というよりは Metaphysics(形而上学) と関係しているような気がする。歌詞の続きを聴くと、ちょっと禅っぽい意味もあるような…。

Ripple in still water           静かな水面にちいさな波
When there is no pebble tossed      小石もないのに
Nor wind to blow            風もないのに


 アコースティック・ギター と マンダリンがメインで、とても落ち着いた歌い方。もしかしたら、やさしいおじさん先生、 Mr Blackmer は物理だけでなく、ちょっと、人生についてのメッセージ も伝えたかったのかな。

There is a road, no simple highway…  
ただのハイウエイとはちがう道がある

And if you go no one may follow    
歩いていっても、誰もついてこない

That path is for your steps alone    
きみのためだけのみち

 先生からのメッセージを、僕は受けとめたみたいだね。